前回、どのような商品に「栄養成分表示をすべきか」を解説しました。(「こんなものが栄養成分表示の対象に!」参照

 今回は「では、誰がその商品に表示をするのか」がテーマです。

 原材料名や添加物などは、仕入材料や調味料等の表示を参考に重量順になるように表示すればいいので、実は専門性が高い仕事ではありません。

 ところが、栄養成分表示はそうではなく、正確な表示をするには栄養士などの専門家に任せなければならないのです。

仕入れ業者に栄養成分表示の義務はありません

「シラス干しや冷凍シシャモをバルクで仕入れ、店内で小分け包装する場合」の話です。

 あなたが働いているお店や買物に行くお店に、『表面には店名のラベルを貼付し、裏面に仕入れ業者が商品と一緒に納入した原材料ラベルを貼付している商品』があるはずです。

 これは「バルクで仕入れた商品が、店舗で100パックに小分けされるなら、原材料ラベルも100枚+α納入されている。店内では『小分け+表面と裏面へのラベルの貼付』という作業で済む」とルールだから。業務用加工食品には、原材料名や添加物、原料原産地名等の表示(伝達)義務があるからです。

人件費にラベルの追加費用もかかります

 ところが、業務用加工食品に栄養成分の表示義務はありません。仕入れ商品に栄養成分の情報がないからといって、店舗で販売する商品に栄養成分表示を付けなくてよいかというと……。

 答えは「NOです」。栄養成分表示は必須です。

 しかも、店舗あるいは自社で栄養成分量の算出が難しいからといって、義務のない仕入れ業者に栄養成分表示を要求することはできません。

 ただ、要請(お願い)することは可能でしょう。しかし、この場合、仕入れ業者は正確な栄養成分を算出するために、誰かに依頼しなければならなくなります。栄養士を雇用して任せるのか、アウトソーシングで専門の会社に委託するのか。

 さらに、現在の原材料ラベルの他に栄養成分ラベルも、商品と一緒に納入することになるので、栄養成分量を算出するための人件費(委託費)等に加え、ラベルの追加費用(2枚ラベルまたは2倍の大きさのラベル)も発生。仕入れ業者の負担はかなり大きなものになるのです。

種類や時期、産地で変わる点も難しいところ

 つまり、栄養成分表示をするということは、小売店側か仕入れ業者側か、どちらかにかなりの負担(費用+手間)がかかることなのです。

 どちらがするにしても、そう簡単に決められるものではないので、双方で相談・検討し、納得のいく方法を選ぶ必要があるわけです。

 あるいは、複数の取引先に打診すれば「栄養成分ラベルも一緒に納入します」「栄養成分ラベルはうちに任せてください」と手を挙げる取引先が出てくるかもしれませんが、いずれにしても、実際に商品に栄養成分表示をするまでには、かなりの時間と費用が発生することになります。

 同じ商品で同じ原材料を使っていても、種類や時期、産地によって栄養成分が異なることもあるかもしれません。もちろん、原材料名や添加物等が同じであっても、使用量が違えば栄養成分表示は異なります。実際に算出しようとすると、思った以上に難しいことが分かるでしょう。

 これも、だからといって「小売店にある商品を全て、他人(仕入れ業者等)任せ」にできるでしょうか。次回は、こうしたときの問題点を深く掘り下げます。