昨年、新たに大手企業のホームファッションの業態が2つ登場した。イオンリテールの「HOME CODDY(ホームコーディ)」の1号店は、2月24日にオープンした「三宮オーパ2」の5階に出店。6月30日にはヤマダ電機が「インテリアリフォームYAMADA前橋店」をオープンさせた。

 ホームファッション市場は約3兆5000億円、この5年間で5000億円増加し、堅調に推移する中で、専門店、総合スーパー、ホームセンター、ディスカウントストアなどが熾烈な戦いを繰り広げている。

イオンリテールの住居余暇はニトリに遜色ない規模だが……

 イオンリテールの住居余暇の売上高は4172億円(2017年2月期)。10%以上のシェアを持ち、専門店トップのニトリの5129億円と比べても、そう遜色のない規模だ。しかし、近年の市場の伸びと比較して売上げは低迷しており、シェアは思うように伸びていないのが現状だ。

 そこで、専門店業態を開発し、既存の売場にもその取り組みを波及することで反転攻勢に転じようとしている。ホームコーディは『暮らしにアクセント』をコンセプトに「時代に左右されない」「長く使える」「シンプル」「上質」をキーワードに暮らしのコーディネートを提案する。

 店舗面積400坪、8000SKUの商品をそろえ、そのうち6割がPBで、将来的にはPB比率を7割まで高める計画だという。

ヤマダ電機が狙う「ファミリー、女性の来店」

 一方のインテリアリフォームYAMADAは1100坪。リフォーム需要の取り込みを狙いながら、ホームファッション、家具、インテリア雑貨をトータルで提案。カフェやキッズスペースも設けて、家電量販店で取りきれていなかったファミリーや女性の来店も見込んでいる。

 周知のように家電はEコマースの攻勢が激しく、家電量販店は守勢に立たされている。ヤマダ電機は住宅やリフォーム事業に力を入れているが、住空間に関わるアイテムを取り扱うことで、関連需要の取り込みも図ろうという狙いで、事業領域の拡大をもくろむ取り組みだ。

イオンの戦略はニトリ、商品仕様やパッケージは良品計画

 イオンはPB主体のSPA(製造小売)モデル、業界勝ち組であるニトリの戦略と合致し、商品仕様やパッケージからは「無印良品」が連想され、言い方は悪いが二番煎じの印象は拭えない。

 二番煎じでも深化させたものであれば意義があるが、イオンの商品調達力はニトリを、商品開発力は無印良品を凌駕できず、残念ながら両者に遠く及ばないのが現状で、当然だがブランディングもかなり差を付けられている。

 イオンは、1985年にはホームファニシングのストアブランド「ホームコーディ」を発売し、部屋のコーディネートをしやすいよう、家具や寝具、ダイニングなど2100品目にわたる統一感のある商品を展開して以来、商品開発の歴史は長い。

 その後、価格に振れたり、付加価値重視に傾いたり紆余曲折を経て、現在に至っているわけだが、現段階では言い過ぎかもしれないが物真似に終わってしまっている。イオンの実力はこんなものではないはずだ。新たなバリューを創造する取り組みや展開をぜひ期待したい。

ヤマダ電機は商品をかき集めたという印象

 ヤマダ電機の品揃えに至っては商品をかき集めてきたという印象が強く、極めて残念な結果に終わってしまっている。商品をセレクトする力をもっと高める必要があり、独自商品の開発も求められており、きめ細かい取り組みが求められる。

 このままではニトリや無印良品の後塵を拝することになり、先行きは見えてこないだろう。追われるものより追うものは強し、されども追い付き追い越すためにははるかに優れたエンジンが必要だ。同じエンジンや劣ったエンジンで走っていたらいつまでも追い付かず、その差は縮まるどころか離れていってしまう。イオンとヤマダの奮起を期待したい。

単品を磨き上げることでまだまだ需要は喚起できる

 ホームファッション市場は、一向に生活者に響かない不毛の生活提案ではなく、単品を磨き上げることで、まだまだ需要を喚起することができる。生活に便利で潤いを与えるアイテムを開発、発見し販売する。

 筆者はカインズでバナナが長持ちするといわれているバナナを吊り下げるバナナスタンドを購入し、長持ちするかはともかく食卓でシュールな風景を楽しんでいる。ちなみに、こうした商品はダイソーでも売っており、ヘッドフォンの置き場所として使っている人もいる。提案に四苦八苦するより、使い方は人それぞれで考える。

 トータルに提案するのはおこがましい。ホームコーディやインテリアリフォームの統一された売場を見て、ついそう考えてしまう。「こんなものがあるんだ」「こう使えば便利だ」と買ってみたいとスイッチが入るアイテムをそろえる方が、ダイレクトに響くのではないか。

 生活提案の呪縛から解放されてぜひ自分でも使いたい、売りたい商品を開発、発掘する方が需要を喚起すると思う。