CS経営の世界には顧客期待と提供価値の2つの要素しかありません。このことが理解できれば、CS経営は結構簡単なのです。

顧客期待と提供価値の関係

 顧客期待とは商品・サービスへの「こうあってほしい」という『お客さまの気持ち』です。一方、提供価値は店舗がお客さまへ提供した商品・売場・サービス等『仕事のレベル』のことです。CS経営の世界にはこの顧客期待と提供価値の2つの要素しか存在しないのです。

 CS経営の善しあしを不等式で表すことができます。「顧客期待≦提供価値」「顧客期待>提供価値」の2つです。前者は提供価値が顧客期待を上回っているおよび同等ですから、店舗の仕事のレベルが期待以上、期待通りとなり顧客満足を獲得しています。後者は提供価値が顧客期待を下回っていますので、店舗の仕事のレベルが期待外れとなり、顧客から不満評価を頂いてしまうことになります。

 CS経営では「顧客期待≦提供価値」となるように活動を進めます。その理由は「顧客期待≦提供価値」の結果、顧客から満足評価を獲得でき、顧客からのリピート、またリピート客からの紹介客を期待できるからです。一方、「顧客期待>提供価値」の場合は不満評価の結果、離反客の増加、また不評の増加につながり、売上損失は甚だしいこととなります。

顧客も気が付いていない期待を把握することがポイント

 このようなことからCS経営では顧客期待の把握がKFS(KEY FACTOR FOR SUCCESS)となります。顧客期待が分からなければ、店舗の仕事のレベルを決められないからです。

 顧客期待を把握し、それと同等またはそれ以上の価値を提供できる仕事を設計し、実現することがCS経営です。

 しかし、CS調査、VOC(VOICE OF CUSTOMER )等、当たり前の調査だけでは限界があります。その理由は真の顧客期待はお客さま自身も気が付いていないケースが多く、既存の調査をしても見えてこないのです。

 このお客さま自身も気が付いていない期待、お客さま自身も言葉にできていない期待をいかに把握するかがポイントとなります。この見えにくい顧客期待を把握し、経営革新を進めている企業はたくさんあります。

 例えば、ガソリンスタンドの洗車レベルの善しあしは水の拭き取りの仕方で決まります。皆さんも洗車後、走り出してフロントグリル、ワイパー等から水しぶきが飛んだり、ドアを閉めた途端に水しぶきが飛んで、折角の洗車を台無しにした経験があると思います。評判の良いガソリンスタンドはフロントグリル、ワイパー、ドア窓等の水拭き取りを入念に行います。しかし、お客さまは水拭き取り方法まで指定しませんね。望む提供価値を顕在化できていないからです。

 このときのキーワードは『お客さまのちょっとした困りごと』『お客さまの何気ない行動』、『お客さまの何気ない言葉』です。この何気ないことに気付けるかが勝負となります。お客さまから『そんなことまで気付いているの!』と感嘆していただけることを求め、顧客期待把握を進めます。今後このシリーズではいろいろな業種、業態での顧客も気が付いていない期待把握の事例を紹介します。