観光庁の発表によると、2017年の訪日外国人観光客数は推計2869万人と前年比19.3%増、その消費も前年17.8%増の4兆4161億円と順調に推移しているようだ。

 LCC(ローコスト・キャリア)を利用した中国、韓国を中心としたアジアからの訪日数の多さが好調要因ではあるが、東京オリンピックに向けて、欧米などさまざまな国からの来日も増えている。2020年、東京オリンピックの年に「年間4000万人 消費額 8兆円」も完全に視野に入ってきている状況といえるだろう。

日本のコンビニは世界をリードする業態になった

 僕も含め、日本人が外国に行ってコンビニがあると、その中身が日本と違ってもホッとするものだ。それと同じように、訪日外国人も来日し、「24時間年中無休で、品揃えが豊富、接客も良い」日本のコンビニに入ると、治安の良さを含めた日本の国民性を感じるようだ。

 コンビニは今では世界各国で展開されるようになったが、その中で優れているとの意見が多いのも、日本にあるコンビニだ。

 台湾に住む日本人経営者に話を聞くと、

「屋台文化であることも影響しているが、台湾のコンビニは日本のコンビニと比べると、惣菜など中食の品揃えが圧倒的に少ない。駐在6年になるが、菓子や雑貨などの品揃えがあまり入れ替わらないのも物足りない。ただし、イートインは進んでおり、店内だけでなく温暖な気候も影響しているのか、店先に机と椅子があり、そこで食べるのは一般的。レジ袋もお客さまが費用として一元を負担するので、ほとんどもらう人がいない。無償のサービスは日本と比べて圧倒的に少ない」という。

 

 日本と台湾を行き来する台湾の日本薬粧研究家の鄭 世彬さんにも話を聞いてみると、

「日本は毎週、お菓子やアイス、デザートなどの新商品が発売されるが、台湾は新商品が月に一度くらいしか入らないので寂しい。商品に貼ってあるシールを集めて景品をもらうキャンペーンは、台湾のセブン-イレブンでは一定金額を買うとレジでシールがもらえるキャンペーンに進化し、年中展開され、日本以上に浸透している」

 こうした声からも、「世界で最もコンビニの密度が高い」台湾でも、日式コンビニ(海外に進出した日本のチェーン店舗)が一歩進み、世界をリードする業態となっていることが読み取れる。

昨年の旧正月、中国人観光客は「200mlの牛乳」を買った

 2017年に推計736万人と、来日数が最も多い中国人観光客がコンビニで何を買ったのか、ローソンに聞いてみた。

 ローソンで使用できる電子マネー「Alipay」(アリペイ、中国で4.5億人以上が使用している)の昨年旧正月の販売履歴からは中国で日常的に飲食する商品が上位を占めていることが分かった。

 一番売れていたのは、200ml紙パック入りの牛乳。2位がその500ml入りとなっている。元来、中国人は朝食に必ず豆乳を飲むが、日本で売っている調製豆乳は中国の豆乳と異なるため、牛乳を妥協購買しているようだ。また、中国には温かいものを飲む文化が強いため、牛乳を「電子レンジで温めて」と言われ、店舗の従業員が困惑する場面があるのだという。

 第3位がおでんの大根、第4位が肉まん、5位が2ℓ入りの飲料水、6位がその500ml入りで、7位が乳酸飲料。そして、8位がフライドチキン。朝食用であったり、日本のファストフードへの興味と自国の屋台で買うのと同じ感覚であったりという理由からの購買が中心となっている。

売れ筋順位に変動あり、ファストフードがランキング上位に

 ただし、直近では販売ランキングに変化の兆しがあり、販売ランキング1位がおでんの大根。このほか、上位にはローチキなどチキン商品が2品ランクイン(中国人は鶏肉を好む)し、肉まんなども含めて5位以内をファストフードが占めている。その代わりに、牛乳や水などは10位前後となり、ランキングの変動が起こっている。

 中国のコンビニでは、1996年にローソンが上海に1号店を出店し、日本のおでんをアレンジした串おでんを中国全土に浸透させた。大根などファストフードがランキング上位になったのは、本家本元のコンビニの商品を食べてみたいとのニーズであり、日常の食をコンビニで買うというステージから、日本の最先端のコンビニ食を体験してみたいとのニーズの変化も感じられる。

 ローソンによると、Alipay利用者の販売が好調な店舗は心斎橋(大阪)や銀座(東京)などの中国人観光客が好んでいく場所ではなく、泊まるホテルに近い店舗となっているようだ。ローソンに限らず、少し変わった場所としては浜松や豊橋のホテル近隣の店舗だという。