私の仕事は経営コンサルタントです。毎年この時期になると、「うちは30人です」「わが社は10人です」「おかげさまで昨年並みに採用できました」という経営者の喜びの声を聞きます。

 人事担当の方もようやく、今年の新卒採用の状況が見えて、あとは入社式へ向けて準備ということとなります。

「定期採用はこのままでいいんですかねぇ?」

 しかし、先日、あるクライアント先を訪問したとき、このようなご相談を受けました。

「先生、正社員の定期採用はこのままでいいんですかねぇ?」

 今までは時給単価がそれほど上昇しなかったので、なんとか助かっていましたが、ここ数年のパートナーさんの採用時給が高騰しているため、毎年今まで通りのペースで正社員を定期採用し続けるのが厳しくなっているというのです。

中小は大手をまねて定期採用すべきでない

 批判を恐れずに申し上げると、毎年の新卒採用をやり続けるメリットはほとんどないと私は思います。

 流通大手が各社、何百人の新卒を採用したことが新聞報道されますが、大手には大手のやり方があって、それを同じ業態だからと、中堅以下の企業がまねをすると手痛い目に遭うということがあるのです。

 そもそも、大手チェーンも本業の小売りでは儲かっておらず、金融やデベロッパー、コンビニといった事業で、稼いでいるのが実情です。

 そう考えると、小売りの売上げウエートが大きい中小チェーンが、これをまねて採用を続けるべきではないことが分かるでしょう。

 もし、大手をまねて定期採用を続けていると、本業の収益低下を招いてしまいます。

5月以降の収益低下に注意が必要

 特に注意しなくてはならないのが、4月に新規採用し、その負担が増える5月以降の人件費増による収益の低下。そこで、慌てて残業代や、中元や夏休みのパート・アルバイトの採用を絞っても、四半期分の利益を落とすことになります。

 好むと好まざるにかかわらず、単価が上がる中で人件費を下げるためには、総人時を減らしていくしか方法はないわけです。

 ここで注意をしなければいけないのは、「人減らしではなく、少ない人員で回せるように、作業人時を減らしておくこと」。これが非常に大事になります。

 そのためには、企業としてその仕組みを持たなければできません。