会員企業の課題は競合、商圏はどんどん狭く

 ーー今、協会や会員企業が抱えている問題は何でしょうか?

 田尻:やっぱり競合。商圏がどんどん狭くなっているというのは、東京だけでなく、地方でも一緒。ディスカウンターやドラッグストアなどが九州、西日本でも、こんなところにこんな店舗数があるのというくらい出店している。驚きだ。

 そうした意味では東京より激しい競争になっているところが多い。今後、どのように淘汰されていくのか。お互いに多分、苦しいと思う。出店している方も予定より厳しい数字だったり、既存店も売上げが奪われていく。それをどう整理、コントロールしていくか、協会のみならずそのエリアの人たちも苦労している。

 ーーそれは自然に任せるしかないのでしょうか。

 田尻:任せるしかない。ただ、苦しんでいるのは事実だ。協会として関わるのは難しいが、何か特徴を持とうという話をしている。例えば、「その店にしかない、その店だからというものを持つことが一番重要なのでは」と。コンビニが出てきただけでも何%か取られる。その中でどう運営していくか、あるいは、どのように尖がらせながら売上げを回復させていくしかない。

 ーー尖がって変わっていった会員企業にはどんなところがありますか?

 田尻:サミット。地方であれ都心であれ、商品の特徴、売場づくりの特徴など特化して特徴を出していく。生鮮食品のウエートをどんどん上げていったり、他の企業が持っていない商品を持ったり、惣菜だけは負けないとか、価格だけは負けないとか。何かないと駄目。今はもう中間はあり得ないのではないか。真ん中が淘汰されつつあるのではと思う。

 ーー協会の強いところと、弱いところはどこでしょう。

 田尻:オール日本スーパーマーケット協会は発足のころと環境が違って、次のステップのタイミングにある。次のステップの共同仕入れは何だろう。今までと同じような「いい売場」「いいお店」「いい商品」というのはほぼ終わっている。

 次のステップとしてどういう知恵を絞り合うのか。月に1回トップの方々と勉強会をやっていて、テーマはいろいろあるが、競合対策、戦い方などをやっている。オペレーションで効率を上げるといったこともやっている。教育部隊もいる。効率よくやっていくことは過去からやっている。

食品ロスの問題は生活者への啓蒙が必要

 ーーみんなで力を合わせていくということですね。

 田尻:他の協会とタッグを組んでやるべきところと、協会独自でやるべきところが、今後はすごく明確になっていくのではと思う。ただ、それぞれに特徴があるので、全て一緒になるのではなくて、一緒になる部分とそうでない部分は独自にやるという流れが自然ではないか。

 ーー物流などはみんなで一致してやっていける分野でしょうか。

 田尻:私が3、4年前から言い続けていることが多少動き出している。「3分の1ルール」の問題や食品廃棄の問題などいろいろなところで言ってきたが、国も大分動こうとしだしている。

 ただ、それだけに特化されても困る。食品ロスを起こさせているのはある意味、われわれだ。競争の中で、あれを買え、これを買えで、結果的に使われずに家庭の中で3割くらい捨てられてしまっている。われわれの産業の中の食品ロスは、実はそんなにはない。例えば価格を半額にして購入してもらったり、残ったものを再利用するということは結構、意識的にやっている。

 ところが家庭の中の問題がわれわれの方に振り向けられてくる。一般生活者をどういうふうにそちらに持っていくかをやらない限りは食品ロスの問題は解決しない。それを急激に解決しようとした動きをしたときに、われわれの産業のトータルとしての売上げが落ちる。

 だから、経済が停滞すると農林水産省に言っている。もしそうなったら、価格を上げなかったら売上げを維持できなくなる。インフレと同時にやっていってくれないといろいろな問題が起きる。農林水産省は食品ロスだけにスポットを当てるけれど、インフレと同時に食品ロスを解決していく。これだけ商品の値段が上がるので、皆さんもロスを減らしてくださいと生活者に啓蒙活動をしていかなければ無理だ。

 ーー最後に、2020年以降の世の中がどうなっていそうか、お聞かせください。

 田尻:経済は絶頂期で、これ以上は難しい。落ちてきたときにどういう経済を取るのかが重要だ。いる人口、ある経済、その中でやりくりするしかない。それ以上を望んでいるからギャップが出てきている。

 もっと自然体で、なるようになれというようになっていけば、もっと人は柔らかくなるだろう。世の中全般があまりにもぎくしゃくし過ぎている。背伸びしなければもっといい生活ができるはずだ。全てにおいて背伸びをしないことがとても重要だと僕は思っている。全ての経済において自然体でいこうというスローガンを掲げてほしい。生活しやすいランキングがあるが、日本は低い。

 ーーなかなか日本は変わらないですね。

 田尻:変わらないというより、急激に変わり過ぎた。ITの発達がそのようにしてしまった。人と人のコミュニケーションを阻害している。25年前と環境ががらっと変わった。人間と人間の関係がとても心配だ。絶対1人では生きていけないので。集団のコミュニケーションの取り方が10年後、20年後、とても心配だ。