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 スーパーマーケット(SM)の売場、入り口を入ると青果売場が出迎え、壁面の通路に沿って鮮魚、精肉と続き、そして惣菜という流れが一般的だ。そして売場の中央で多くの面積を占めているのは、調味料、即席麺、菓子、酒類などぎっしり商品が詰まったゴンドラが並んだ加工食品の売場だ。

 大半のお客もこの動線に従い、店内を巡回し買物を済ませてレジで精算して店を出る。日々必要で消耗が早い生鮮品や惣菜とは異なり、購買頻度の低い商品ということもあり、加工食品の売場に足を踏み入れるお客は圧倒的に少ない。

 加工食品の売場は少し大げさかもしれないが未知の眠れる暗黒大陸ともいえる。SMの売場は、最近は惣菜を前面に打ち出す、需要の高まる精肉を青果の次に持ってくるなど一部で変化も見られるが、鉄板の売場レイアウトは長い間不変のもので、今も多くの売場は前述したようなものになっている。

まずは既存の売場づくりを思い切って変えてみたい

 加工食品の売場にいかにお客を引き入れいれるか。そのために、まずゴンドラを並列に並べ、中央に横断的な少し広い通路を設けている配置を思い切って変えてみることも一考ではないか。

 例えば、入りやすさや視認性を考えて、背の高いゴンドラを廃止し背の低いラウンド型の什器や平台、カップ麺で採用されている投げ込み型の什器に変えてみる。

 そして陳列もカテゴリー別だけではなく、さまざまな料理提案やテーマを決めて商品を集積する。例えば、カレーならルーやレトルト、調味料はもちろん、菓子、カレーに合うアルコールなどあらゆる関連アイテムを集積する。

 ゴンドラのエンドで行っていた特売は、セールコーナーを設け、在庫処分品のアウトレットコーナーも大々的に展開する。ディスカウントストアでよく見られる大量に商品を積み上げるピラミッド陳列も導入し迫力を演出、売り込みたい商品を積極的にアピールする。

 背の高いゴンドラをなくしたことで、「最初に什器あり」で、とにかく場所を埋めるという考えのフェーシングもなくなり、的確な需要やニーズに対応した最適化が図られ、本当に売りたい商品は何なのか、おのずから明らかになる。

 さらに、本当に売りたい商品、提案したい商品を見極めて取り扱うことで、売り手側の意思がはっきり反映された売場に変貌する。

 このことはメーカーや卸しの意向を反映したナショナルブランド(NB)の売れ筋をただ並べた売場からの脱却も意味し、差異化を図ることができる。

 こうしたことに取り組むことで、結果的に商品を絞り込むことにもなる。そもそも加工食品は取り扱うアイテムが多過ぎる。しょうゆやみそといった基礎調味料はひところより種類が減ったが、逆に人気が高まるオリーブオイルのアイテム数は拡大傾向にあり、煎餅などの菓子の品数も多く、似たようなものも多い。

本当にここまで多くの商品を並べる必要があるのか?

 果たしてそれほど多くの商品を並べる必要があるのか。世の中にある数多い商品の中から、自らがいいと思う商品を選んで販売する。それが売り手の役割であり、買い手はその意図を感じて購入する。

 似たり寄ったりのNB商品を取り扱うのではなく、その中から売りたいもの、売るべきものをセレクトする。

 ファッションでは「ユナイテッドアローズ」や「ビームス」といったセレクトショップが一定の存在感を示している。

 食品でも、一部でこうした取り組みが既にある。北野エースの全国のこだわりのレトルトカレーを、本を並べるようにして300アイテムも陳列した「カレーの本棚」は、単にNBアイテムを羅列した売場とは全く異なる明確な意思のあるセレクトショップだ。

 ベーシックアイテムはドラスティックに絞り込み、逆にアピールできるアイテムは思いきって拡大する。

 そうすれば無意味な商品の多さではなく、魅力的な商品がそろう売場になり、結果的には全体で大幅に商品数が減少し、単品で大量に売れる商品も多くなり、売場面積も少なくて済むようになり、売場効率も改善されるだろう。

 そして、空いた部分に新たなカテゴリーやサービスを導入、売上げが拡大している部門やカテゴリーの拡充も可能になる。

 暗黒大陸からバラ色の明るい新大陸になれば、大いに売場が活性化され、魅力が大幅にアップする。既成概念にとらわれることなく、突拍子ないことをやってみる。そしてダメならまた考える。奇想天外と思えることでも、トライ&エラーで思い切って変えてみることも必要だ。誰か勇気のあるチャレンジをぜひトライしてほしい。