H&Mやユニクロ(自社商品)がリサイクルに取り組んでいるのは、なぜでしょうか?

 私は、この理由を(大量製造・大量販売しても)「資源を大切にしたモノづくりをしていることを伝え、次世代の若者にブランドのファンになってもらいたいから」だと思っています。

 成熟した日本で育った若者は、モノがあふれる豊かさを経験しており、本当に欲しいモノでなければ買いたい気持ちにはなりません。

 つまり、少子高齢化の影響で日本国内のマーケットが縮小する今後、こうした若者にモノを買ってもらうには、これまでとは異なる発想が不可欠なわけです。

 では、いったい何が必要か?

 私は「衣食住をテーマに、『作り過ぎず』『廃棄せず』『再利用できる』商品を生み出す仕組みをつくり、モノをリサイクルすることで次世代層が欲しくなる価値を創造すること」だと、考えています。

 そのためには、リサイクルという言葉がイメージさせる節約というお得感ではなく、サステナブルが醸し出す誰もが憧れたくなるライフスタイルを、商品を通じて提案することが必要になります。

鉢植えをアイコンにサステナブルな仕組みをつくった

 福井市から車で約30分の場所にある人口1000人の西袋町に、工房兼アトリエろくろ舎はあります。

 ここの主人である酒井義夫さんは木地師(漆塗りの下地〈伝統工芸〉をつくる人)です。

 酒井さんは間伐材の丸太を、元からあった節や割れ、傷みを残すように削り、年月と共に自然の経年変化(色が変化すること)を起こす、世界に一つしかない味わいの鉢植えを生み出しました。

 

 その鉢植えは「TIMBER POT」。酒井さんは、この鉢植えでインテリアライフスタイル東京2015、「ヤングデザイナーアワード」を受賞しました。

 このTIMBER POTは『再利用できる』間伐材(太陽光が十分に入るよう植林された木々を伐採した廃棄木材)をリサイクルし、“最期は土に還る”というコンセプトで商品化されています。

 TIMBER POTに施された自然を慈しむ1点モノのデザインは、使い込んだヴィンテージの服に魅了されるミレニアル世代の若者のハートをわしづかみにしたのです。