複数のコンピューターを相互接続した国際的なシステムであるインターネットが、米国で商用化されてから今年で20年を迎えた。

 ウェブサイト、電子メール、SNS、音声通話などで多くの情報の受発信が行われており、インターネットで飛び交う情報量は膨大だ。ネットに接続すれば誰でも情報を得ることができ、インターネットは情報革命を起こした。

「非対称性の解消」が情報量の格差を縮めた

 その結果、もたらされたものは「情報の非対称性の解消」だ。今まで情報は専門家やジャーナリストなど一部の人が独占し、一般の人たちの情報量とは大きな格差があったが、インターネットの登場により、情報の入手が格段にたやすくなり、その格差が大きく縮まった。

 もちろん、手に入れられないものもあり、そもそも入手しても理解できないといった問題もあり、非対称性が全て解消されたわけではないが、俯瞰的に見れば等しく情報を得られ、誰でも情報を発信できることからその情報源も飛躍的に拡大した。インターネットは極端にいえば世界の70億人が発信できるプラットフォームなのである。

商売の仕方が大きく変わった!

 このことは何を意味しているのか。流通シーンで考えてみると、BtoC、BtoBの商取引に一大革命をもたらした。

 取引には売り手と買い手が存在し、多くは売り手が情報を持ち、買い手は十分な情報を得られず、ここに差が生じていた。しかし、ネットで情報を入手することで、その格差の解消が可能となった。

 取引する商品に関する情報はもちろん、モールサイトや価格比較サイトなどでどのくらいの価格で売られているのかといった情報も得られ、買い手は容易に比較購買できるようになった。

 そのため、個人に向けてネットで商品やサービスを売るときに一番考えなければならないのは、売り手発想ではなく、買い手の立場に立つことなのだ。

 情報をきちんと伝え、時には第三者の情報も得られるようにし、買い手の情報も確実に吸い上げる。ネットにおけるサイトはお客が訪れる店であり、売場であり、商品をただ羅列していればいいわけではなく、使い勝手のよい居心地のよい場所にする必要がある。

 インターネットは情報を受発信するという点で、リアルより圧倒的に使い勝手の良い場であり、ツールなのだ。極論すれば商品を売るのではなく、情報を提供し、結果的に商品が売れるようにする。そのための仕組みや仕掛けをすることが極めて重要だ。

売場で売れない商品も、ネットでは売れる

 情報が十分に提供できず、売場では売れない商品もネットで取り扱うことで飛躍的に売上げを伸ばすことも可能だ。EC総合モールサイトやネットスーパーは取り扱いアイテムの数を誇っているが、その分、個々の商品は埋もれてしまう。売りたい商品をピックアップし、圧倒的な情報量を付加することで商品の魅力を伝えてアピールする。こうした取り組みをもっと積極的にすべきである。

 誰でも情報を発信し、ネット上で膨大な情報が存在していることは玉石混合の状態でもある。そこに価値のある独自の情報を発信することで想定顧客をキャッチし、お客が増えることで情報が拡散し、新たな顧客も獲得する。情報という観点から考えればまだまだいろいろな展開が考えられる。

「制約がない」という革命をもたらした!

 一方、ネットには「同時時空性の否定」という特性がある。同じ時間、同じ場所にいなくても情報、商品、サービスなどがやりとりできるということである。

 具体的な例を挙げると、店舗という空間でお客と相対しなくても商品を販売可能ということだ。リアルな店舗では顧客は地理的な影響を受けるが、ネットはその制約はない。店舗が離島にあっても年中無休24時間、日本中、世界中、いつでも、どこにでもモノを売ることができる。これは小売りの歴史において画期的な出来事である。

 この特性をまず自覚してディールすることが大切だ。誰にでも売れるということは国内に限れば1億2670万人に対して売れるということだが、マスの商売ではなく、ニッチの商売も可能ということだ。

 例えば、今までは遠くて店に来られなかった全国に点在するファンやマニアなど特定の層に対して、時空を超えて商品を提供できる。たとえ100人しか購入者がいなくてもそこでしか買えなければ商売は成立する。

 ブランド品やトイレットペーパーなど、どこでも買える商品を不特定多数に販売するのではなく、特定の層に絞り込んで彼らが求めているモノを提供する。ターゲットを絞り込む手立ては必要なく、お客はネットで検索してやってくる。

 こうした観点に立てば売れる商品を、既にリアルな店舗で取り扱っているラインアップからも見つけられるかもしれない。スーパーマーケットの缶詰売場を、缶詰マニアにフィットするカタチで再構築するように。そして際立ったサイトが完成すればやがて幅広い層にも拡大していくことも不可能ではない。

ネットでも「時間帯」「平日・週末」のMDは効果的

 さらに、24時間営業という利点を生かして時間帯マーチャンダイジング(MD)やマーケテイングも仕掛けるべきだ。早朝、昼、夕方、夜間、深夜といった時間帯や週末と平日でMDを変える。こうしたことは既にリアルな店舗では行われているが、なぜか、ネットでは見ることができない。

 それぞれの時間帯から推測してアイテムを強調したり、週末、平日のハレとケの気分を考えた展開を行ったりすれば、鮮度感も打ち出せ、タッチポイントを増やすことにもなる。

 ネットは情報がキーワードであり、サイトは24時間年中無休の売場。このことを自覚してECに取り組めば、レッドオーシャンの世界を抜け出し、新たな可能性も見いだすことができるのではないだろうか。