© 2016 Reiner Holzemer Film – RTBF – Aminata bvba – BR – ARTE

 インタビューが嫌いなことで知られる世界のファッションデザイナー、ドレス・ヴァン・ノッテンが映画になったと聞いては、興味津々、見ずにはいられない。

 ドリス・ヴァン・ノッテンは、大資本に属さず己の道を貫く珍しいブランドだ。メンズとレディースの服は、両方とも色や素材、伝統とモダン、相容れないと思われる柄・色を組み合わせ、絶妙のバランスと美しさを表現する。自分が着こなせるかは別として、とにかく美しい。

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 手仕事にこだわり、完璧主義で、休むことを知らない天才デザイナーのもとには、世界中から特注した美しい生地が届く。

 独立系ブランドを維持するのはどれほど大変なことだろう。妥協を許さないその姿は、カッコいい。広告は出さない、自己資金だけで活動する、手軽な小物やアクセサリーは作らない、洋服だけで勝負する。現在、世界17都市の400軒以上の店で取り扱われている。

 その中の一つ、東京青山店をのぞいてみた。

 表参道のアパレル店が集まる一角にブティックが静かに建っていた。顧客は、40代の女性をボリュームゾーンにコアなファンから愛され続けていると教えてもらった。

感動的です!インドの刺しゅう工房の話

 映画で見ることができるコレクションは、パリのグランパレで開催された2015年春夏ウィメンズコレクションに始まり、ドリスが15年間憧れ続けて実現にこぎつけたオペラ座の舞台での2016-17年秋冬メンズコレクションまで。半年に一度のショーに全精力をつぎ込む姿が描かれている。

© 2016 Reiner Holzemer Film – RTBF – Aminata bvba – BR – ARTE

 また、アトリエや刺しゅう工房、そして広大な庭があるベルギーの邸宅での過ごし方まで見せてくれる。

「ファッションはむなしい言葉だ。時代を超えたタイムレスな服を目指している」「洋服はモノではない。情熱と熱意、社会の空気がこめられている」といった、彼の哲学がつづられていく。

 インドの刺しゅう工房の話も感動的である。

 手刺しゅうを細部にわたって確認するために、赴任しているインドの駐在員が「もっとエレガントに、もっと繊細に」と現地スタッフに指導する。ドリスは、彼らの仕事が切れないように、必ず刺しゅうのデザインを毎年作るのだという。

 これほど作品に真摯に向き合う姿を見たら、そのブランドを、その商品を愛さずにはいられない。

ドキュメンタリー映画『ドリス・ヴァン・ノッテン ファブリックと花を愛する男』:2018年113日(土)よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野ほか全国順次公開