質疑応答で業績に関する質問に答える、岡崎双一イオン執行役GMS事業担当(イオンリテール代表取締役社長)の顔は笑みで満たされていた(ここのところ、岡崎氏は記者会見では厳しい表情をすることが多かったが、この日は笑みを隠し切れないように見えた)。

 2017年度第3四半期は、(1)「年末年始の営業状況が良かったこと」(2017年末は前年比〈以下同〉2~3%増、2018年始は7%増)、(2)「プライベートブランド(PB)のトップバリュの売上げが2ケタ近く伸びていること」、(3)「PBとナショナルブランドを値下げしたり、相場高の青果物を小分けにしたりして、買いやすい価格にすることが当たったこと」など、イオンリテールが打った手がピタリとはまった。

 そして、(4)「イオンスタイル化の推進」(イオンスタイルは351店舗中52店舗に)に加え、(5)「既存店の活性化」(その際、イオンスタイルの成功事例も水平展開される)にも取り組み、既存店全体で売上高が1.8%減となる中、①「キッズ」は9.0%増、②「ファーマシー」は5.9%増、③「リカー」は4.5%増、④「ビューティ」は3.5%増、⑤「レディス」は2.1%増と、売上げを伸ばしたのだった。

 その結果、苦戦した「農産」(9.2%減)と「水産」(4.0%減)の落ち込みを、これまで苦戦が続いていた衣料品でもカバー。これは、気温低下という天候要因もあるが、(6)「積極的に取り組んだ『ブラックフライデー』期間の売上げ好調」による要素も大きかったのだという。

GMS事業は営業利益の改善にも寄与

 イオンの2017年度第3四半期 累計連結業績は、営業収益が6兆2065億円(1.7%増)、営業利益が1027億円(174億円改善)、経常利益が1051億円(200億円改善)、親会社株主に帰属する四半期純利益は-44億円(128億円改善)。

 営業収益は第3四半期の過去の数値を更新し、営業利益は通期最高益を更新した2011年度以来の1000億円超えとなったわけだが、この業績回復につながった要因の一つがイオンリテールをはじめとする「GMS事業」(営業収益2兆2684億円、0.3%増/営業利益-215億円、163億円改善)の営業利益の改善だった。

 2018年2月期第3四半期の「GMS事業」に属する企業業績は以下の通り。

・イオン北海道は「増収増益」(営業収益1359億円、1.2%増/営業利益51億円、2.8億円改善)。

・イオン九州は「減収で営業損益」(営業収益1707億円、2.0%減/営業利益-16億円、1.3億円改善)。

・サンデーは「増収減益」(営業収益370億円、0.9%増/営業利益8億円、1億円悪化)。

・イオンリテールは「増収で営業損益」(営業収益1兆6137億円、0.2%増/営業利益-147億円、74億円改善)。

 ダイエーからの移管店舗は関東・名古屋・近畿の店舗で23億円(営業利益は-67億円)、九州の店舗で10億円(営業利益は-15億円)、営業利益が改善(この要因は「既存店売上高、荒利益率が継続して改善したこと」「イオンの得意日の売上げやトップバリュの売上げが大きく伸長したこと」)。

 GMS事業が厳しい状況にあることに違いはないが、改善の兆しが見えてきたのが、この第3四半期だったといえるだろう。

2事業の苦戦を5事業の改善でカバー

 イオン全体では、営業利益を減らした事業もある。

 その一つが「SM事業」(営業収益2兆4172億円、0.4%増/営業利益125億円、62億円悪化)。もう一つが「サービス・専門店事業」(営業収益5812億円、1.1%増/営業利益166億円、34億円悪化)。

 だが、「GMS事業」と次の4事業の改善分で営業利益を増益している。

「ドラッグ・ファーマシー事業」は営業収益5155億円(110.7%増)、営業利益187億円(31億円改善)。

「総合金融事業」は営業収益2942億円(8.3%増)、営業利益441億円(26億円改善)。

「デベロッパー事業」は営業収益2472億円(6.3%増)、営業利益344億円(36億円改善)。

「国際事業」は営業収益3068億円(2.9%増)、営業利益-28億円(38億円の改善)。

 イオンの2017年第3四半期決算では、これまでも利益貢献をしてきた「ドラッグ・ファーマシー事業」「総合金融事業」「デベロッパー事業」に加え、「GMS事業」が回復。

 こうした現状を見ると、イオンの好業績には、GMS事業が回復し、きちんと利益貢献をすることが不可欠だといえるだろう。

 焦点は、やはり「GMS改革」なのだ。

 イオンでは2017年度の通期連結業績予想を営業収益8兆3000億円、営業利益2000億円、経常利益2000億円、親会社株主に帰属する当期純利益150億円としている。