全国のショッピングセンター(SC)は3211、総テナント数は15万9066、年間総売上高は31兆3259億円(2016年・日本ショッピングセンター協会調べ)と、販売チャネルとして大きな位置を占めている。

 昨年は話題を集めた「ギンザ シックス」、「LECT」、「パルコヤ」など48施設がオープン、今年は「東京ミッドタウン日比谷」や「マークイズ福岡ももち」など42件の開業が予定されており、増勢傾向は落ち着きながらも依然として増え続けている。

Eコマースの台頭を受け、存在意義が問われている

 SCはスーパーマーケットやドラッグストアなど日常生活に必要なものを購入するデイリーユースの業態と異なり、商圏も広くショッピングや外食、エンターテインメント、アミューズメントなどを目的に、わざわざ出かけるスポット。ショッピングを中心にさまざまなコンテンツを組み合わせて魅力を高め、イベントや販促プロモーションで来場を促し、売上げに結び付けようとしている。

 そうした状況の中で、SC同士は日々激しい集客合戦を繰り広げており、生き残りをかけた戦いが各地で見られ、淘汰の時代を迎えているが、Eコマースの台頭を受けて改めて存在意義が問われている。

ポイントは「時間消費」だが、売上げに直結しない

 そこでポイントとなるのが「時間消費」。モノを売るだけではなく、あの手この手で滞在時間を伸ばして、財布のひもを緩めておカネを落としてもらおうとしている。

 映画、アミューズメント、スポーツといった「体験」で時間を消費。施設を回遊することでモノ消費にもつながり、滞在時間が長くなることで飲食需要も生まれる。この方程式に基づいて取り組みがなされてきて成果を上げてきたわけだが、果たして今後も正解を導き出すことができるのか。

 迫力のある大画面や音響という体験は映画館でしか楽しめないが、バーチャルテクノロジーの進化などでその優位性もなくなる可能性があり、ゲームセンターなどアミューズメント市場も伸び悩んでいる。将来的にどこまで集客機能として果たせるか不透明だ。

 最近は情報の受発信機能も高めて、人々が集まり、交流する場を設け、地域のコミュニティ機能を付加する取り組みも行われており、料理などリアルでしか体験できないメニューも提供し、図書館機能なども展開するなど工夫を凝らしている。

 ただ、こうした取り組みは集客面では一定の効果を上げているが、売上げに直結するものではない。やはり、テナントの売上げで多くを占める物販の行方がSCの命運を左右する。周知の通り、Eコマースの攻勢を受けてリアル店舗の役割が改めて問われている。

頭が痛い「ファッションテナントのパワーダウン」

 衣食住のテナントを並べて構成することはSCのメイン機能であることに変わりはなく、今でもショッピングを目的に多くのお客が訪れる。

 そこで問題化しているのが、今まで主力となって売上げを支えてきたファッションテナントのパワーダウンだ。ファッション専門店も雑貨の取り扱いや飲食機能などを付加して活路を見いだそうとしているが、かつてのような勢いを取り戻せていない。

 さらに食物販やサービステナントを強化するなど変化も見られるが、限定的な効果にとどまっている。

社会ニーズの高まりを受け、新たなコンテンツが登場

 巨大な装置産業としてのSC。SC先進国の米国ではEコマースの攻勢で、各地で廃墟化した施設が点在。この傾向は既に日本国内でも散見されている。Eコマースとリアルの構図の中でSCの将来図はどう描かれていくのだろうか。

 SCという装置産業は多大な投資を必要とし、地域に多くの雇用を創出し、地域経済の活性化にも貢献してきた。

 モノを売るという点ではネットと同じ土俵で戦えば勝ち目は少なく、アミューズメントやエンターテインメントもいつまで有効かも疑問符がつき、有力な販売チャネルとして10年後も健在であるかは定かではない。

SCで結婚式を挙げ、暮らす時代がやってくる?

 既存の施設の立地も問われるが、ショッピング機能が縮小していくことは確実で、社会ニーズの高まりを受け、病院、ホテル、住宅、介護施設、レジャー施設といったコンテンツが取って代わる可能性もある。

 今後はSCで結婚式を挙げ、そこで暮らしていく時代がやってくるかもしれない。既に、温浴施設やクリニックモール、行政サービス窓口、金融機関も出店している。

 そして、新たなコンテンツの登場も予想されるが、経済合理性を追求し対価に見合うものでなければ意味はない。

 SCの将来像はショッピングのセンターではなく、地域に必要なものを提供する多目的な施設に変貌していくことになろう。廃墟となる悪夢を振り払うためには新たなジョーカーが必要だ。