FC契約に関する紛争で「情報提供義務違反」が問題となる場合(「FC契約」締結の際、本部が加盟店に提供すべき情報とは?」参照)、同時に「指導援助義務違反」が問題となることがあります。

 情報提供義務違反は、主にFC契約の締結段階で、本部が加盟店の候補者に適切な情報の提供を行ったかという問題なのに対し、指導援助義務違反は、FC契約の締結後に、本部が加盟店に対して適切なノウハウの提供や指導援助を行ったかという問題です。

 指導援助義務違反の有無は、情報提供義務違反の場合とはチェックすべきポイントが異なるので、注意が必要です。

ノウハウの提供は本部の本質的な義務になる

 そもそも、加盟店がフランチャイズチェーンに加盟する理由は、本部から提供される商標やノウハウなどを利用することで、独力で事業を始めるよりも容易に収益を上げることが期待できるからです。

 そうすると、ノウハウの提供は、FC契約の本質的要素であるといえます。

 情報提供義務は、主にFC契約を締結する前の問題であるため、FC契約の本質的な要素というわけではなく、「多くの情報を持っている本部から情報の少ない加盟店候補者に情報を提供させることがフェアだから」という理由で認められる義務でした。これに対し、ノウハウの提供を含む指導援助義務は、FC契約を締結した当事者において、「FC契約であること」から直ちに導かれる義務といってよいでしょう。

 そして、加盟店はノウハウの付与に対して加盟金やロイヤリティを支払うわけですから、これらのノウハウは加盟金やロイヤリティに見合うだけの価値を有していなければなりません。

 仮に本部がそのような価値のあるノウハウを含んだサービスを提供できない場合には債務不履行責任を負い(千葉地判平成19年8月30日判タ1283号141頁、東京高判平成21年12月25日判時2068号41頁)、想定されていた経営ノウハウを持ち合わせていなかったような場合には、詐欺による不法行為責任を負うこともあります(水戸地判平成7年2月21日判タ876号217頁)。

本部はノウハウの陳腐化を防ぐ必要がある

 また、本部は、FC契約の締結時に保有しているノウハウを提供すれば足りるというわけではありません。

 ノウハウは市場の変化等によりすぐに陳腐化してしまうため、本部には新たなノウハウの改良・開発を不断に行うことや、そのノウハウを加盟店に対して継続的に提供するとともに、これに付随する適切な指導・援助を行うことが求められます。

 この指導援助は、「事業経営の方法」「会社設立」「立地選定」「店舗の内装・レイアウト」「カラーコントロール」「従業員の教育訓練」「市場動向調査等に基づく商品構成」「商品の陳列方法」「商品の製造加工方法」「品質の管理方法」「販売促進方法」「広告宣伝方法」「顧客情報の取り扱い」「商品機器備品等の調達方法」「設備の保全管理方法」「人材の募集・採用方法」「資金調達方法、売上げ等の管理方法」「会計経理」「経営改善策」など、広範な分野に及びます。

本部はどのような指導援助を行えば義務を果たす?

 さて、実務において重要な問題となるのは、「どの程度の指導援助を行えば義務を尽くしたことになるのか」ということです。

 FC契約の条項に指導援助義務の具体的内容が定められている場合には、そこに規定された具体的な義務が尽くされていたかどうかを検討し、その行為がなければ、原則として指導援助義務違反となります。

 これに対し、FC契約の条項に指導義務の具体的内容が定められていない場合はどうでしょう。

 指導援助は多岐にわたる上、市場の変化等に応じて柔軟に対応する必要があるため、FC契約の契約条項に定められた指導援助の内容は抽象的で、かなりざっくりとした表現にとどまることが多いのです。そのため、問題となった契約の指導援助義務に関する条項の解釈・内容の具体化が困難なケースがほとんどです。

 中小小売商業振興法にもとづく法定書面(同法11条1項・同施行規則11条)には、「経営の指導に関する事項」として、①加盟に際しての研修又は講習会の開催の有無、②加盟に際して研修又は講習会が行われるときはその内容、③加盟者に対する継続的な経営指導の方法及びその実施回数を記載すべきこととされており、FC契約書には、さらに具体的な定め(臨店指導の回数など)が置かれていることもありますが、肝心の指導援助の内容については、やはり抽象的なものがほとんどです。