株式会社ゼンリンジオインテリジェンス顧問 平下治氏

「日本スーパー名鑑ポイントデータ」(商業界)は、小売店に関する最大規模のデータベース商品で位置情報を加えた豊富な属性データを特徴とする。ネット販売の拡大、人口減、高齢化などマーケットが大きく変化する中、2月1日の2018年版の発売を前に、ポイントデータの有用性をGIS(地理情報システム)マーケティングスペシャリストの平下治氏(株式会社ゼンリンジオインテリジェンス顧問)に語ってもらった。

ネット販売の拡大でチャネルが大きく変わる 

 昨年、アメリカではアマゾンがスーパーマーケットのホールフーズを買収して話題になりました。ネットとリアルの融合との見方もありますが、ネット販売の拡大を象徴する動きだったと思います。日本においても、ネット販売がさらにマーケットを広げ、店舗小売りが徐々に後退する流れが予想されます。

 そうなれば、小売業は今まで以上にマーケットや競合店の変化に敏感になる必要があります。縮小する市場を巡って競争が激しさを増し、弱い店が市場から退場を迫られるからです。

 サプライヤーのメーカーやベンダーもこのことに無関心ではいられません。ネットがどれだけシェアを伸ばしても、メーカーやベンダーにとって大量販売を行う店舗は重要なチャネルです。店舗の出退店が激しくなれば、製造計画の調整など、生産への影響が避けられないでしょう。

人口減と高齢化、店舗情報が一層重要に

 また、日本では人口減少と高齢化が急ピッチで進行しています。先の国勢調査からも明らかですが、都心にどんどん人が集まり、マンションの開発も進み、そこに若い人が住み始めています。都心で小型スーパーが増えているのもこうした理由があります。

 一方で、地方や都市周縁部では人口が流出しています。郊外のショッピングセンターやスーパーマーケットは、人口減に加え、高齢者が自動車に乗らなくなり、店舗へのアクセス環境が悪化しています。

 こうしたマーケットの変化に対応するには、人口の移動や商圏の変化などマーケットの動きを捉えることは当然ですが、加えて店舗そのものを細かく見る必要があります。出退店に始まり、リニューアルや増床、業態転換など、競合店を含む店舗の動きをつかみ、店舗のポテンシャルや競争力を見極めなければなりません。小売業にとっても、メーカーやベンダーにとっても、店舗の情報は一層重要になると考えられます。

GISソフトで商圏分析、業態間の競争も分かる

 その点で、「日本スーパー名鑑ポイントデータ」は、小売店に関する有用なデータベース資料といえます。食品スーパーやGMSなど7業態・4万8504店(2018年版)を取り上げ、売場面積や開店・改装年月日など、およそ20項目の店舗属性を備えています(※1)。GIS(地理情報システム)ソフトやマーケティングデータと組み合わせて利用すれば、それぞれの店舗の商圏特性も簡単に見ることができます。

地図上に示した対象店舗と商圏内競合店
(画像提供:株式会社ゼンリンジオインテリジェンス)
地図上に示した対象店舗と商圏内の世帯数メッシュ
(画像提供:株式会社ゼンリンジオインテリジェンス)


 また、さまざまな業態のデータが揃っていることも日本スーパー名鑑の特徴です。とくに食品については、かつて食品を扱うのはスーパーマーケットやGMSだけでしたが、現在ではコンビニに加えて、ドラッグストアやホームセンターでも扱うようになっています(※2)。

 そのため、食品の競合状況を正確に見ようと思うならば、業態の垣根を超えて店舗を捉える必要があります。こうした点で、日本スーパー名鑑は使い勝手のよいデータベースと言えます

 ポイントデータは、小売業やメーカー・ベンダーのマーケティングに役立つツールであるばかりでなく、GISに携わる人にも必要不可欠なデータベースです。店舗周辺の商圏情報などマーケット情報と一緒に活用することで、その価値は一層高まることでしょう。

※1 店舗属性の各項目の開示の割合は項目によって異なります。
※2 日本スーパー名鑑で取り上げているコンビニは一部のチェーンとなっています。