ECで買ったグロサリーは店舗で受け取りたい

 なぜ、こうしたことをやっているかというと、今、アメリカではグロサリーのEC販売額が結構、伸びているからです。平均のEC販売額の伸び率が15.5%なのに対して、グロサリーのそれは34%の伸びになっています。そして、ECで買ったグロサリーをピックアップしたいという比率が、2015年は18%でしたが、2016年は45%と大きく伸びているのです。

 アメリカでも注文した商品を家で待っているのが大変なので、店頭で商品を受け取りたいという要望を増えているわけです。Amazon Freshは配送時間を1時間おきに指定できますが、それすら嫌だという人が増えているのです。

 また、この店舗の視察に行って感じたのですが、何かあればその場で返品できるという点も、消費者の支持を受けるのだと思います。

 3つ目のリアル店舗が『Amazon Books』で、この1号店はシアトルにあります。この店舗の書籍には値段が書いてありません。標準価格はありますが、アマゾンプライム会員は割引になるので、2つの価格があるからです。この店舗を通じて、「プライム会員になりましょう」という働き掛けをしており、現在はニューヨークやシカゴにも店舗があり、この両店にはカフェを併設しています。

この「3つのキーワード」から対策が導ける

 これらを踏まえて、では、「アマゾンとどうやって戦うのか」。その解説をしていきます。

 今回は3つのキーワードで説明をしましょう。

 1つ目のキーワードが「宅配問題」です。

 昨年、「ヤマトショック」がありました。宅配料金が値上げするということでいろいろな企業が困りました。

 しかし、これによって、アマゾンはさらに勝つと思います。なぜかというと、他のEC企業のほとんどは配送にヤマト運輸を使っています。ヤマト運輸は今回、サービスレベルをダウンさせたわけですが、これはEC企業にとっては(間接的ですが)自社サービスのレベルが落ちたことと同じことになります。

 アマゾンは有料のプライム会員の制度を設けているので、夜の時間帯の配送もでき、配送ごとの費用がかからない。他のEC企業はこれに対抗するためにはフォロー戦略を採らねばならないわけです。

 アメリカの消費者にアンケートをとると、2017年の1月から3月のデータによると、ECで買い物をした人の62%の人が送料無料で買っています。そして、ECのトップ1000社のうち、76.5%の企業が送料無料のサービスを行っています。

 リアル店舗はアマゾン対策として、オムニチャネル化をすべきですが、その際にはアマゾンのフォロー戦略は不可欠になっているのです。

今の消費者は買い物の拘束時間が負担になっている

 2つ目のキーワードが「買い物拘束時間」です。

 ネット通販では拘束されている時間はスマートフォンを触っている時間と荷物を受け取る時間だけになります。「拘束されている時間」は例えばゲームをできない時間ですが、ECで買った商品が届くのを待つ時間もゲームはできます。あとは、今でいうとインスタができるとかでしょうか。

 しかし、コンビニに行くと、入店して買い物をして、レジで精算をして歩いて帰ってくる。この全部が拘束時間になります。この間、ゲームをやり続けることはできませんから。

 スーパーマーケットに自動車で買い物に行って、自宅まで帰るまでも全部が拘束時間になる。

 いかにこの拘束時間を減らすかが、重要になると思います。そう考えると、無人レジも有望だなと思うわけです。

 3つ目のキーワードが「チェーンストア理論の崩壊」です。端的にいうと、これまでチェーンストアは「1店舗当たりの売上げと店舗数」で全てが語られてきたわけですが、これが変わりました。今は「1顧客当たりの売上げ×顧客数」。リアル店舗勢力も、このように売上げの計算方法を変えねばならない日がやってくるかもしれません。

 今回、3つのキーワードを話しましたが、このように発想を変えないと、リアル店舗勢力はアマゾンに負けます。特に、最後の商圏の取り方、売上げの立て方の計算方法を変えないと難しくなります。いくらオムニチャネル化を進めても店舗がなくなると、ネットの売上げも落ちますから。そうなったら、絶対にいけないわけです。