「無印良品」を展開する良品計画が引き続き好調だ。2018年2月期上期(17年3~8月)は8期連続増収・7期連続増益で最高益を更新。特に第2四半期は国内事業がリードした。海外事業でも17年7月に海外の店舗数が国内を上回るなど新たなステージに入った。松﨑曉社長に今後の戦略について聞いた。

(聞き手/『ファッション販売』編集長・西岡克)
photo/杉田容子
松﨑 曉(まつざき さとる)

 1954年3月10日千葉県夷隅郡岬町(現いすみ市)生まれ。78年中央大学法学部卒業後、西友ストアー(現西友)入社、2003年同社ファイナンスアジア事業部シニアダイレクター部長。05年良品計画に入社、海外事業部アジア地域担当部長、08年執行役員海外事業部中国担当部長、11年取締役兼執行役員海外事業部長。常務取締役、専務取締役を経て、15年5月社長兼執行役員に就任。趣味はウオーキングと読書、「成果が如実に表れる」という理由で草むしりも。

 

良品計画の業績推移
 

 ――今上期も相変わらず好調だった。今期9カ月(17年3~11月)の動きは。

 松﨑:上期の既存店売上高の伸びは7.9%で、衣服・雑貨は8.8%、生活雑貨は7.5%、食品が6.6%。足元の9~11月もこの傾向は同じです。

 今期は特に衣服・雑貨が好調です。前期が苦戦したこともありますが、やはり靴下など価格を見直したことで支持を受けたのだと思います。

 実は08年のリーマンショック後の16年時点で既存店の客数が前年を上回ったのは13年度の1年だけだったのです。16年度は前期比0.3%増と何とかプラスに転じたのですが、今上期の客数は6.7%増と大きく跳ねました。無印良品は普段の生活に使っていただく商品です。だから使用頻度が高い商品については価格感度が重要なのだと改めて認識するとともに、マーケットの潮目が変わったのだと思いました。

価格合理性の追求は無印良品の基本理念だ

 ――価格戦略を振り返ると、14年秋と15年秋は円安値上げをして、16年秋に実用品を低価格で提供する商品群「ずっと良い値」を増やして全体のバランスを変えて実質的な値下げに転じた。17年の春に「豊かな低価格」と打ち出して200品目、17年秋には110品目を値下げした。さらに18年春には「新価格宣言。」と銘打って過去最大規模の2400品目の値下げに踏み切る。値上げから値下げに転じた理由は。

 松﨑:無印良品は1980年に「わけあって安い」というキャッチコピーでデビューしました。価格合理性の追求は無印良品の基本中の基本なのです。だから常に全世界で価格の見直しをしていきたいと考えています。ただ為替レートが大幅に変動してやむを得ず価格を上げた時期もあったということです。

 バイイングパワーを背景にした価格交渉や取引先の集約、産地の移管、流通経路の短縮によって価格を見直し、買いやすくする努力は継続的に進めています。

 ――価格以外で衣料品が好調な理由は。

 松﨑:後は在庫を持ち始めたことです。例えば紳士のスラックスは標準店には一つのサイズに在庫が1枚しかなく、欠落商品もあり、シャツはあるけれどボトムスが少ないといった状況がありました。そこで例えばスラックスは何アイテム、シャツは何アイテム、ボトムスはアウターはニットは……と基本設計をきちんとするようにしたのです。

 衣服は中途半端な品揃えでお客さまの生活を満たすアイテム数がなかった。それが今きちんと品揃えされていることが大きく伸びた理由だと思っています。

 ――他に実行している商品政策は。

 松﨑:当社は17~20年度の4年間の中期事業計画(中計)をスタートしました。特にこの中計では生活の基本となる商品はマーケットシェアを取っていこうとしています。これを戦略商品、社内的にはOS商品と呼んでいます。

 例えば靴下では当社は16年現在で日本のマーケットシェアの1.87%しか取っていませんが、少なくとも無印良品は生活の基本となる商品は3~5%は取らなくてはいけない。生活の基本となるのは靴下とかタオル、スリッパといった基本商材です。衣服でいえば紳士の白のブロードシャツ、白のTシャツ、チノパンツなど本当に基本中の基本商品です。

 30年までのロードマップ(行程表)を作り、シェアを3~5%程度取ろうという戦略商品をこの4年間で衣生食(衣服・雑貨、生活雑貨、食品)全体で年間10アイテム、計40アイテムを作ろうと考えていたのですが、既に51アイテムがリストアップされています。

 これによってお客さまから支持を受けて来店頻度を高めていきたい。これがこの中計で大きく打ち出したことです。