2020年まであと2年。2020年は東京オリンピック・パラリンピックも開催されることから、区切りの年として位置付けられている。

 2019年10月には消費税増税が予定され、一時的に消費の駆け込み需要や落ち込みを生じさせるが、大災害や内外の経済リスクが起こらない限り、日本経済は2020年までは大きな変化がないというのが大方の見方だ。

 そうした状況の中で2018年の流通シーンでは何が起こり、何が変わるのだろうか。未来は遠くを見詰めるのではなく、今、そこにある予兆を発見し、そこから透視することが重要だ。2018年に起こりうることの多くは既にその萌芽が芽生えており、その意味で過去と現在を見詰めることが極めて重要である。

価格競争がますます激化、価格が下押しされる?

 そうした視点から考えて見ると、一部で値上げが行われているが、需給ギャップは埋まらず、あらゆる業種・業態で出店過剰の中、価格競争はますます激しくなるだろう。今や、納豆3パックは普通のスーパーマーケットでは特売やEDLP で98円ではなく、58円であり、ディスカウントストア(DS)では38円。価格はさらに下押しされる可能性がある。

 そして、消費者のマインドも「節約志向」という一時的なものではなく、既にモノの価値を見極め、価格が適正であるかという「経済合理性志向」へ変化している。

 さらに、生活者はそれぞれの可処分所得に応じて、この商品はこのくらいの値段でという「価格の物差し」を持っている。この基準をもとに、例えばスカートなら2900円、マグカップなら500円などと、プライスポイントを頭の中に設定し、インプットされた値頃に基づき、購買行動をしている。

 そう考えると、付加価値積み重ねで価格を決めるのではなく、価格ありきの商品開発も必要とされるだろう。機能や価値をそぎ落とした商品も増えてくることが予想される。

 特に、食品における感度は高く、プライシングを誤れば即、売上げが減少する。供給する側も価値のあるものだから高くするのではなく、この商品ならこの価格で提供すれば購入してくれるという合理的な価格を提示する必要がある。

労働人口の減少が好転する確率は0%だ

 人手不足の問題も顕在化している。今年も景気は底堅く推移すると考えられ、人手不足の解消は見込めず、「人手不足」はさらに深刻化するだろう。パートタイマーなどの非正規雇用の従業員が多く、労働集約型の流通業は特に深刻で、長期的には人口減少、少子高齢化による労働人口の減少も大きく影響。好転する確率はゼロ%で、人手不足対策が恒常的な経営課題になってくる。

 人を大量に採用して大量に辞めていく悪循環から抜け出すためには、職場環境や待遇の改善、働き方改革への取り組みが必要で、昨年9月にアルバイトを除く非正規従業員を全て正社員化したクレディセゾンのような思い切った手も打つべきである。

 レジの自動化などの省力化や労働生産性の向上も取り組んでいかなければならない。ローソンが、スマホの専用アプリを使った「キャッシュレスサービス」を今春から東京都内の店舗で実験を開始する予定で、その成果が注目される。

 ただ、こうした一連の取り組みは新たな投資やコストアップにつながることから、収益力の向上が欠かせない。そのためには労働集約型のビジネスモデルからの転換と、店舗という装置産業の枠組みを超えた事業構造も変えていかなくてはならない。「人ありき、店舗ありき」の延長線上の発想からは何も生まれてこないだろう。

注文1時間で届くサービスは果たして必要か?

 そうはいっても現実的には店舗が存在する。今、ここで起こっていることはコト消費への対応である。ここ数年、特にショッピングセンターではモノからコトへのシフトが叫ばれており、取り組みを強化。今年もその傾向が続くだろう。

 この背景にはリアルとネットの構図の中で、「コト=体験」を打ち出すことで利便性に勝るEコマースと差異化し、存在価値を見いだそうという狙いがある。

 リアルでさまざまな体験をし、時間を消費する「時間消費」と、コトを起点にモノ消費を喚起する「コト化消費」の両面作戦で需要の取り込みを図ろうとしている。

 また、ネットとリアルの融合も大きなテーマだが、融合して得られるメリットは限られている。店舗ではスマホアプリなどでネットを店舗に誘導するツールとして割り切り、Eコマースはリアルと切り離してビジネスの拡大を目指していく。それぞれ別個に考えてビジネスを構築した方が可能性は高いと思う。

 一方で、シェアを拡大するEコマースでは、外出せずにいつでも買えて価格も比較でき、注文した商品が届けられるという利便性を堅持しながら、配送時間の短縮などさらにその利便性を高めようとしている。

 しかし、昨秋のヤマト運輸の宅配便値上げが契機となり、送料がクローズアップされ、コストアップが問題となったように、Eコマースでもサービスの見直しをせざる得ない状態に追い込まれることも予想される。

 注文して1時間で届くサービスが果たして必要なのかといった、原点に立ち戻った考察もすべきで、便利さの限界も浮かび上がってくるだろう。

 ただ、靴や洋服を試着して返品できる「ロコンド」のように、Eコマースの弱点を解消するサービスも既に登場している。ITやAIの進化によって、より利便性の高いサービスも予想され、進化も急ピッチで加速。リアルの優位性と思われている要素や機能はますます狭められていくだろう。