第6回は、「ラストワンマイル」です。

 皆さん、ラストワンマイルという言葉を一度は聞いたことはありますか?

 ラストワンマイルは、元来、通信業界で使われていた言葉です。その定義は、「一般消費者や企業に対し、通信のための接続を提供する最終工程のこと」で、現在では「インターネット接続の最終工程のこと」を指すことが多いようです。

 一方、流通(主に、物流)におけるラストワンマイルの定義は、「商品の受け渡し接点(場所)」を意味します。すなわち、ストックポイントである物流センターからお客さまの家まで商品を運ぶ「配送」の最後の区間というわけです(角井2015、2016)。

 また、最近ではお客さまがネットで商品を注文して、店舗で商品を受け取る場合がありますが、この場合は店舗がラストワンマイルになります。

 この受け取り方には、2タイプがあり、1つがピックアップ型、もう一つがデリバリー型です(図表①参照)。

 

企業の競争力を左右する重大事項になっている

 ラストワンマイルがなぜ大切かというと、そこでの店舗従業員や、宅配事業者の配達ドライバーの「サービス品質の良悪(接客、配送時間の正確さ等)」が、次回以降の競合他社との商品・サービス購入時の差別化ポイントになりかねないからです。

 従って、今日、小売企業にとって、ラストワンマイルへの配送を自前の物流網を使って実施するのか、それとも宅配事業者(例:ヤマト運輸、佐川急便、日本郵政)に委託するのかは、企業の競争力を左右する重大な経営の意思決定事項になっているわけです。

 特に、リアル店舗を持たないネット企業(例:アマゾン、楽天、ZOZOTOWN等)は、リアル小売業以上に、戦略的にラストワンマイルの最終拠点であるお客さまの玄関先で、どのような顧客経験価値を醸成できるかを常に考えています。

 小売業では昔から、「物流を制すものが、ビジネスを制す」と言われています。

 その象徴が、世界最強のリアル小売企業である「ウォルマート」であり、最強のネット小売企業である「アマゾン」です。

 アマゾンは、2016年度売上高15兆円に対して、物流システム投資額として約2兆円(売上高の約13%)を割いています。アマゾンがいかに物流システム(SCM)を重要視し、お客さまとの接点であるラストワンマイルに近づこうとしているかが、こうしたことからも、よく分かると思います。