厚生労働省が22日に2017年人口動態統計の年間推計を発表した。国内で生まれた赤ちゃんは94万1千人で100万人を2年連続で下回った。死亡数は戦後最多の134万4千人で出生数が死亡数を下回る、自然減少は初めて40万人を超える見込みだ。

 先進9カ国(日本、米国、イギリス、スウェーデン、イタリア、ドイツ、フランス、シンガポール、韓国)の中で、日本の人口1千人当たりの出生率は7.5(合計特殊出生率1.44)と最低を記録した。

 この状況を厚生労働省では、主な出産世代である25~39歳の女性の人口が減っているのが大きな要因と分析。政府が掲げる2025年度末までに合計特殊出生率1.8の目標実現は極めて難しい情勢になっている。

 今や日本の人口の27.3%が65歳以上の高齢社会を迎え、若者人口は12.4%と減少傾向が続いている。今回は、これから本格的に形成されていく「少数の若者&多数派高齢者」という人口バランス社会について考えてみたい。

健康的に肉体・精神を持つシニアがますます増える

 日本は先端医療技術や社会保障制度の充実もあって女性は87.14歳、男性が80.98歳と平均寿命も年々伸びていく傾向にある。

 日本人の一生そのものが長くなっている関係もあって、また、将来の社会保障制度の負担を考えても、定年年齢の引き上げや再雇用の促進は、誠に理にかなった施策だと思う。

 現に大和ネクスト銀行が全国60~79歳の働く男女1000人にアンケート調査を行ったところ、現在の仕事に3人に2人(65.6%)が満足と答え、転職したいシニアも8人に1人(12.3%)おり、そのうちの3人に1人が「チャンスがあれば自分で起業したい」と回答。「元気なうちは働き続けたい」という人は実に86.6%にも上ったそうだ。

 最近の健康志向も手伝って、昔では想像できなかったような健康的な肉体と精神を持った働くシニア世代がこれから増えていくわけだ。

「あるべき」「理想的な」の放棄は成熟化の結果?

 このように高齢化が進む一方で、少子化の流れも止まらないのが、今の日本の厳しいところだ。日本は過去に経験したような爆発的な人口増は移民政策以外に考えにくいのが実情といえるだろう。

 成熟国家たるゆえんかもしれないが、社会環境や価値観の多様化、あるいはライフスタイルの変化が影響したのだろう。DINKS(ダブルインカム・ノーキッズ)という言葉に代表されるように、結婚しても子供を持つ必要性を感じない夫婦のみの世帯の増加が、近年のこの国のトレンドの一つになっている。

「子供を授かりたい」「不妊治療してでもわが子をこの胸に抱き寄せたい」と『妊活』に励む夫婦もいる一方で、子供を持つことに消極的で親と同居もしない夫婦だけの世帯も増加している。

 子供を作らない理由はいろいろと考えられが主な物として①晩婚化による高齢出産リスク、②互いの仕事を最優先、③子供の扱いが苦手、④今の生活スタイルを壊したくない、⑤親になる自信が持てない、といったところだろうか。

『一億総中流意識』が肩を利かせていた昭和のころは、「あるべき家庭の姿」や「理想的な家族の姿」みたいな模範が広く認識、共有されていた時代だった。

 だが、今日、そんな倫理観などとうに壊れてしまった。多様な価値観が容認されるさまは成熟化社会の姿といえるだろう。

数の論理で突き進むと、変な社会になってしまう

 これから逆三角系化する人口動態の中で、既に起こり始めている現象の一つに「職場における若手の小数化」が挙げられる。

 現場は皆、熟練やベテランばかりで若手は少人数、会社によっては肩書きを持った社員の方が多い職場などもある。

 民主主義というシステムにのっとり、『数の倫理』で物事を決していくと、これからは「成熟、老齢化民たち」が一番力を持つことになる。果たして、それは正しき道なのだろうか。

 若者には若者にしかない良さもあるわけだから。

 例えば、「経験や成功事例にとらわれないモデル」や「現代の時流による柔軟な発想」といったところか。こうした少数・弱者な若者の声を、いつでも聞き取れる環境が会社や社会で整っているのか。

 正に老練たちの腕の見せどころでもあるのではないか。