行政と組んで複合型施設をつくることが必要

 首都圏の百貨店は徹底的に情報発信すべきだと思います。都市集中型の流れになっているときには、そこに行かないとトレンドから取り残されるとか、そこに行かないと情報が入らないとか、そこに行かないと格好悪いとか、そうした店づくりをどうやってするかだと思います。

 中途半端な店ではこれからはきつくなります。地方は都市部のようにはいかないので、毎日来店する一人一人のお客さまのライフスタイル、生活にどれだけ入り込んで、その人たちと寄り沿っていけるツールを持てるかが大切になります。

 店づくりといったハード面では、地方創生や市街地活性化などいろいろなテーマがありますが、百貨店単独では成り立っていかない。エンターテイメントなどの複合型施設をつくって、その中でお客さまに買い回りしてもらったり、時間を過ごしていただいたりしていくことを行政と組んでやっていく必要があるのではないか。ですから、これから首都圏と地方の百貨店の考え方は大きく変わってくると思います。

 ネットとリアルという観点の中で、ネットの持つ利便性や優位性はたくさんあります。ただネットはコンテンツがすごく大事で、コンテンツの独自性をどうつくっていけるかが、これからのネット業界の大きなテーマだと思います。今後、グローバルで1つの大きなプラットホームができて、その中にリアルな店舗があり、ブランドがあり、企業があり、お客さまはその中から自由に選べる。その結果、お客さま一人一人がカスタマイズできていく時代になっていくのではないでしょうか。

 そうは言っても、人と人との関わりが小売りの原点で、これを持って絶対的価値を実現すること。お客さまも、小売業に立つ人間も人間力が問われる時代になったのかなと思います。

一人一人の個性が重要になる時代になる

 私がここまで生きてこられたのは4つあります。社長になったのも「運」。人とのお付き合い、人と人との関係性も、ものすごく「縁」をたくさんいただいたし、今もいただいています。人は本当に困ったとき、辛いときに声を掛けてくれたり、親身になってくれたり、その「恩」は絶対に忘れない。

 それから、経営者は勘で経営してはいけないと思いますが、私は自分が感ずるもの、この人と会ったときにこの人とビジネスをしたいとか、「勘」というものが重要だと思います。

 私は、前の会社の従業員に「Stay Crazy」というメッセージを残しました。人間はみんなポテンシャルがあるので、優秀な人、そうでない人、活躍しているとかそうでない人ではなくて、そこからはみ出そうよと。一人一人の個性が重要になってくる時代になるので、みんな思い切って人間性を磨いてくださいという意味を込めて、このメッセージを申し上げたのです。