1979年3月慶應義塾大学商学部卒業。同年4月伊勢丹入社。 2004年2月同営業本部MD統括部紳士統括部長。2005年6月同執行役員 経営企画部総合企画担当長。2008年3月三越 常務執行役員 MD統括部長。伊勢丹 常務執行役員。2009年6月同代表取締役社長執行役員。2012年2月三越伊勢丹ホールディングス 代表取締役社長執行役員。三越伊勢丹 代表取締役社長執行役員。2017年6月退任。同年10月オフィスタイセイヨウ設立。
 
※本稿は2017年11月22日(水)に開催した「商業界オンライン」創刊記念カンファレンスでの講演内容をまとめたものです。(Photo/杉田容子)

何がどう変わっているかすら見えないくらい世の中が変わっている

 ものすごい勢いで世の中が変わっていると感じています。何がどう変わっているかすら見えないくらい、変わっていることは間違いない。そうした意味で、今は安心・安全の時代から、変動する時代に移ったと思っています。

 今は「UNの時代」です。Unstable(変わりやすい)、Unexpected(予期しない)、Unusual普通でない)の時代。もう安定した時代は来ない。仮説と期待は少し違いますが、期待通りになることはたくさんありますが、今まで概念的に成り立っていたことがもう成り立たない時代。今はまさに不確実性な時代だと思います。

消費に関わるバブルは私には全く感じられない

 わが国のGDP(国内総生産)500兆円の6割、つまり300兆円が消費であり、この半分が小売業界でつくられています。株価、為替、税金、消費増税、社会構造、技術革新、産業構造の変化、グローバル化など、小売業はいろいろな経済環境などに、ものすごく影響を受けます。今、東京はものすごい勢いで開発が起こっています。こうしたことも全部、小売業に影響します。

 日本では2040年には人口が1億人を切って、7000万人から8000万人になると言われています。特に、地方の人口減少がさらに進んで高齢化になる。沖縄だけは人口が圧倒的に増えているのは、ホテルやレストランの開発がすごく進んでいるためですが、ともかく地方経済の衰退や国内需要が低迷しています。そうなると、シニア層の労働参画がどれくらいできるかが大きな課題となります。

 今の消費動向は、麻生太郎副総理が稀に見るバブルだと言っていましたが、消費に近い立場にいる人間としては1990年代のバブルの感触と全然違います。不動産などカテゴリー別のバブルはあると思いますが、消費に関わるバブルは私には全く感じられない。そこに少しギャップがあると思います。

 また、「モノからコトへの消費」ということはずっと言われてきていますが、現実的に消費者がお金を使う割合はモノが半分で、コトが半分になっている。小売りとしてはモノとコトの提案を、極端に言うと早く半分にしなければ、お客さまのニーズとフィットしないと思います。

渋谷が大きく変わったとき、新宿はどうなるんだ?

 街づくり(都市再開発)については、期待と不安があります。

 都内の今のデベロップメントは時代と共にものすごく変わってきていると感じます。2027年に、東急とJRの駅中心に再開発が終われば、渋谷はものすごい街になると思います。宮下公園も三井不動産が主体となってやられていくので、渋谷から原宿にかけての街が大きく変わっていきます。そのときに新宿はどうなるんだということを危惧していました。

 六本木と虎ノ門の開発プロジェクトは継続中。IR(統合型リゾート)はどこにできるか分かりませんが、いずれにしても法案が通れば2022~2023年にはどこかにできます。例えば横浜にできたとしたら、品川が変わって、羽田が変わって、横浜から羽田、品川のラインの地域が大きく変わってきます。こうしたことを全部ひっくるめて、小売業は影響を受けるわけです。