4月、奇しくも、カルチュア・コンビニエンス・クラブの店舗が出店した大型商業施設が、東京・銀座と広島市にオープンした(写真は広島の店)。

 2017年、流通シーンで起こった出来事や現象を振り返る前に2016年はどうだったのか。日本チェーンストア協会による会員企業の広報担当者が選んだものは以下の通りである。

1.セブン&アイ・ホールディングス鈴木会長が退任。/2.ユニーグループ・ホールディングスとファミリーマートの経営統合。/3.熊本で震度7を観測する地震発生。/4.消費増税再延期。/5.天候不順による野菜の高騰。/6.社会保険適用拡大。/7.訪日外国人観光客の爆買いが沈静化。/8.三菱商事、ローソンを子会社化へ。/9.電力小売り自由化。/10.スマートフォン向けゲーム「ポケモン GO」の配信開始。

  この中にはその年限りの一過性のものもあれば、今年さらなる動きにつながったものもある。移ろう日々は速しで、あれほど騒がれていた電力小売り自由化は今では話題に上ることもほとんどなくなった。セブン&アイは新体制となり、新たな経営計画が策定されたが、さしたる進展は見られず、セブン-イレブンに依存する構造は変わっていない。ローソンは子会社化との関連は不明だが、無人レジ店舗の2018年春の実験開始を目指している。その後はさまざまである。

総合スーパーがディスカウントストアの軍門に下った!

ユニー・ファミリーホールディングスとドンキホーテホールディングスが資本・業務提携したニュースに驚いた読者は多かったはずだ。

 ちなみに、今年も広報担当者が選んだニュースは既に発表されているが、それはさておき、私が選んだニュースを順不同で挙げ、その意味を読み解いてみようと思う。

 ユニーとファミリーマートの統合は、既存事業を見直し、収益性を重視することになり、ドン・キホーテとの連携を結果的に生み出した。今や完全に負け組に振り分けられた総合スーパーが白旗を上げてディスカウントストア(DS)の軍門に下ったのが、①ユニー・ファミリーホールディングスとドンキホーテホールディングスの資本・業務提携である。

 ドン・キホーテのノウハウを活用し、ユニーが運営する総合スーパー「アピタ」「ピアゴ」約200店舗を再生させる。下剋上的な出来事とも言え、かつての総合スーパー全盛の時代から見れば隔世の感がある。

 しかし、感傷に浸っているわけにはいかず、そもそも総合スーパーは百貨店の廉価版のカウンターカルチャーで、米国流のジェネラルマーチャンダイジングストアとは別物ものであり、百貨店の没落とともに衰退は予兆されていたのかもしれない。

 ディスカウンターは常に流通を革新する原動力であり、その意味ではドン・キホーテが総合スーパーに取って代わるのは少しも不思議ではない。

 ②ドン・キホーテは6月、4Kの50型テレビを5万4800円という今までの常識を打ち破る価格で発売し、4400台を完売。大ヒットとなり、10月には性能を向上させ、大幅に生産台数を増やし同じ価格で販売している。

 かつてダイエーが先導していた価格破壊の役割をほうふつとさせるもので、パーツを組み合わせて簡単に作れるテレビという特性もあるが、ドン・キホーテはこうした取り組みをさらに推進していくものと思われる。価格はこれからも大きなテーマとしてますます重要性が高まっていくだろう。

 ドン・キホーテも総合スーパーと同じ総合業態だが、「何でもあるが買いたいものがない」と揶揄された総合スーパーと違って、買うものがあるから支持されているのであり、業態論の限界を改めて教えてくれる。

 ちなみにドン・キホーテは「驚安堂」というDS型スーパーマーケット(SM)も手掛けているが、11月に「梅島店」が閉店。3店舗にとどまっており、こちらは進展がはかどっておらず、道半ばという状況だ。

都心への出店でも見えた「SPA型専門店の強さ」

有力専門店の都心進出は既にユニクロが店舗網を張り巡らせているが、不動産コストの高い場所での出店は、改めてSPA型専門店の強さを証明する形となった。

 同じく新興勢力の攻勢と言えば、③ニトリの東京都心への進出も相次いだ。2015年4月の「プランタン銀座」を皮切りに、2016年は「上野マルイ」と「東急百貨店東横店」、「タカシマヤタイムズスクエア」に出店。2017年には、「東武池袋店」と「渋谷公園通り店」をオープンさせた。プランタン銀座がマロニエゲートにリニューアルしたのを契機にニトリは売場を倍増。東武池袋店は1000坪超の店舗だが、2000坪でも展開可能とみており、売場効率という点で自信を見せる。

 有力専門店の都心進出は既にユニクロが店舗網を張り巡らせているが、不動産コストの高い場所での出店は、改めてSPA型専門店の強さを証明する形となった。

 収益性の高いビジネスモデルでなくては都心マーケットでは成立しない。自社物件でなければもはや都心で百貨店の経営を維持するのは容易ではない。一部の限られた店舗しか生き残れないだろう。

 その自社物件でも④名古屋の繁華街・栄にある老舗地方百貨店「丸栄」は、2018年6月で閉店することになり、2027年をめどに新たな複合施設に生まれ変わる。

 残存者利益で存立してきた地方百貨店もどこまで持ち応えることができるか。百貨店を支えていた地元の富裕者層も減少し、「県庁所在地1店舗時代」が永遠に続く保証はない。

 ネットとリアルの構図の中でもネットで次の一手が打たれた。今や、「アマゾンエフェクト」「アマゾンショック」とも受け止められ、ネットショッピングの旗手としてリアルから戦々恐々の存在となっているアマゾン。

アマゾンが、アマゾンプライム会員向けの「アマゾンフレッシュ」で生鮮食品の分野に参入を果たした。

 ⑤そのアマゾンが、アマゾンプライム会員向けの「アマゾンフレッシュ」で生鮮食品の分野に参入を果たした。グロサリーや日用品、雑貨も取り扱っており、10万点以上の商品を展開するネットスーパーで、現時点で東京、神奈川、千葉の一部地域でサービスを展開、最短4時間で商品を届ける。今後の展開は配送網の整備にかかっており、自社でサービスエリアの拡大を進めていく。

 ネットの利便性はヒトが移動しなくても商品が購入できる点に尽きる。SMはワンストップショッピングの利便性で魚屋や八百屋を駆逐してきたが、それを上回る利便性で守勢に立たされている。