屋台で買った「臭豆腐」(50元)。甘辛い白菜漬けが添えられている。

「台北101」は2004年の大みそかにグランドオープンし、ドヴァイの超高層ビルに抜かれる2007年まで世界第1位の高さを誇っていた。

 スタートを待つフル7000人、ハーフ2万人のマラソンランナーは、いや応なく台北101の威容を間近で見て、さまざまな想いを胸に抱くことになる。

 年配のランナーは高度経済成長を遂げた祖国への想い、若年のランナーは子供のころに父母に連れられて上った台北101の展望台からの景色、初めての訪台ランナーは、レース後の観光を楽しみに走るのだろうか。

 私(筆者)はといえば、この巨大なランドマークのもとに、制限時間(5時間30分)以内に無事「帰還」することを願うばかり。台北101の地下レストラン街には中華料理の名店「鼎泰豊」(ディンタイフォン)の分店もある。レース後のランチはビールと看板料理の小籠包しよう。ネガティブなイメージ(途中棄権)を追い払う。12月17日(日)午前6時30分、台北マラソンはスタートした。

訪台ランナーへの「おもてなし」に感謝

新光三越は台湾の百貨店ではナンバーワンの売上高。写真は台北信義新天地店と新たな商業施設「微風」。

 この台北101周辺の信義地区はショッピングモールやオフィスビルの開発が進み、東京でいえば「お台場」みたいなエリア。

 そのショッピングモールの核テナントである新光三越は、日本の三越伊勢丹ホールディングス(HD)が43.5%出資(2016年度)する関連会社が経営し、台湾全土で13店舗を展開している。

 モールを歩くと、最新映画やアイドル歌手のキャンペーンなどの企画で賑わい、若者やファミリーの富裕層の集客に成功している。1990年代にはこの地区に市政府(市役所)が移転し、展示会会場に利用される世界貿易センター、新たな商業施設が開設されている。

 そうした場所がスタート&ゴール地点に設定されたのも、台北市の豊かな消費社会を実感できる場所としてアピールする狙いもあるのだろう。

 スタートはゼッケンに記されたアルファベット順のクループから。通常の大会は自己申告した過去の「記録順」になる。つまり、早い者から先に出る。ランナー同士の接触を避ける合理的な方法なのだ。

 しかし、台北マラソンはルールが異なる。5時間30分ランナー(時速8キロ)の私がBブロック。「何で?」と驚くも、後で関係者に聞くと、日本からのエントリーは皆、Bブロックに入れたとのこと(他の国は確認とれず)。

「おもてなし」の精神に感謝する一方で、案の定、スタート後に時速8キロで、のんびりしていると、後方から肩をぶつけられ、あおられてしまう。

 仕方なく周囲と歩調を合わせ、GPS機能付き時計で計測すると1キロ6分台前半のスピード。このままゴールすれば4時間~4時間30分の(私にとって)超ハイペース。当日は小雨とはいえランナーにとって気温12℃の好条件(台北では稀な寒さ)。前回6時間で帰還できなかった、バンコクのミッドナイトマラソンと比較しても格段に身体が軽い。タイムリミットが来る前に、行けるところまで行ってみよう。

[勝負飯]ファミリーマートの巻き寿司(各39元、1元≒3.7円)。
[勝負飯]セブン-イレブンの、おにぎりのようなミニご飯(九州風鶏肉、単品36元)。
九州風鶏肉飯の中身。写真はマラソン翌日に同じ商品を購入してレンジアップしたもの。完全に崩れて、ワンハンドでは食べるのは困難だった。
ファミリーマートの、おにぎりのようなミニご飯(単品39元)。

同質化する2チェーンの商品開発

 台北入りは前日の午後。スタート地点に近い信義地区に宿をとった。レース前日はしっかり「休足」が必要。夕食はホテルで軽く済ませることにし、その前に、翌朝の「勝負飯」をコンビニに買いに行く。

 以前、地方の大規模マラソン大会に出走した際、夜遅くにホテル近くのコンビニに翌朝の米飯を求めに入ると、ほぼ売り切れ状態に焦った経験がある。ランナーが同じ行動をとるから棚がスカスカになる。

 今回も残っていたのはピリ辛系のおにぎりのみ。走る前にお腹が緩くなるリスクを冒すランナーはいない。海外のコンビニは米飯の棚も基本はチルド温度帯なので、買って部屋の冷蔵庫に入れても同じ品質を保つことができる。

 まずはファミリーマート(台湾3143店、2017年11月末)の手巻き寿司2品目。酢加減は控えめ。玉子、魚卵、ハム、キュウリ、ピーマン等が具材。マヨネーズ味がベースで万人受けしそうな商品だ。大衆の支持が必須条件のコンビニにあって王道の一品である。

 続いてはセブン-イレブン(台湾5197店、11月末)の高級おにぎりーーと思って買ったら、日本のおにぎりとは勝手が違った。開封して手に持つと、お米が崩れ落ちそう。しかもベトベトしている。パッケージを見ると、ご飯が器に盛られた写真。いったん袋に戻し、こぼれ落ちないように口に運んだ。肉の量も十分過ぎて好感が持てる。

 ちなみに、翌日、別のファミリーマートでセブン-イレブンと同じ体裁の商品を見つけた。具材はチキンカツ、ご飯を薄卵で巻いた一品。

 大手競合2チェーンは相互に研究し尽くしているので商品が同質化してしまう。2チェーンが同じカテゴリーで商品を競えば、どちらのお店であっても、普段通りの買い物ができるので、品揃えの同質化は、お客にとって必ずしも不利な買い物環境とはいえないのかもしれない。

 総じて台湾のお米はおいしい。粘り気があり、日本のお米に通じるところがある。冷たいままでも十分にOKである。

 調べると、日本統治時代に、在来の稲と日本の稲を交配させ、品種改良して、「蓬莱米」を開発したという。コンビニの米が「蓬莱米」かどうか定かではないが、日本人の好む米が台湾で主流であることは確かである。ご飯が進む。

 真面目なランナーは、走る数日前から炭水化物中心の食事に切り替えて、エネルギーの素を体内に蓄積する。朝の食事も、ご飯かパスタか消化の良いうどん類が鉄則だそうだ。とはいえ、食べ過ぎてはいけない。

フルマラソンのコース図(紫色)、他の色は地下鉄路線。