日本のチェーンストアにはまねる文化があり、その文化がチェーンストアのマネジメント革新を阻害していると感じています。『マネジメントって何?』と、本気で考えてみませんか?

マネジメントの定義は何か?

 私はマネジメントを『組織の目標達成を阻害する問題を測定し、その問題を解消するための計画立案、その計画を実行するにあたり、実現を邪魔する新たな問題を解消し続けること』と定義しています。

 従って、マネジメントを考える上でのキーワードは『問題』となります。いろいろなチェーンストア企業で経営改善の取り組みを支援し、成功、失敗両方を見てきましたが、失敗している取り組みは『対策ありき』、成功している取り組みは『問題を明確』にしていたからです。

 対策ありきの取り組みはほとんどの場合、思い込みの対策で正しくない対策となっています。正しくない対策を実施しても問題が解消されません。現場には疲弊感だけが残り、会社、上司への不平不満が醸成されていきます。

 一方、問題を明確にして、その問題が解消される対策を立案できれば、実施したとき、その問題は消え、現場で良いことが起き始めます。そこで初めて現場メンバーの会社、上司への信頼感が生まれ始めます。

まねる文化がマネジメント革新を阻害する

 チェーンストアにはまねる文化があります。それは、チェーンストア黎明期の米国ツアーから良いことを学び、模倣することにさかのぼります。そして、『対策ありき』を助長してきました。

 企業が成長していく過程で模倣の時代は間違いなくあるのですが、その次には自主・創造の時代があるのです。良いこと(対策)をまねるだけでなく、その良いことの背景になった『解消したい問題』は何だったのかを研究することはもっと大事だと思います。

 現在もチェーンストアでは新店舗、話題店舗の見学が盛んに行われています。その目的はまねることの発見ですね。マネジメントの観点からいうと、見学者がまねるべきだと認識したことを、その新店舗は『どんな問題を解消しようとしていたのか』を徹底的に調べることが重要になります。

 新店舗、話題店舗が発見していた『問題』を見つけることで、現象的模倣から脱皮し、自社の特性に合致した本質的取り組み、自主・創造的取り組みとなります。また、いろいろな場面に応用できるスキルも磨くことができるはずです。

チェーンストアへの提案:『マネジメントとは問題を考えること』

 『マネジメントは行動だ』と言う人がいます。いくら良い計画、戦略を立てても、実施しなくては意味がないからです。『計画なくしてマネジメントなし』という人もいます。無計画な実施は成果につながらないからです。このようにいろいろな言い方が存在します。

 私は『マネジメントは問題を考えることだ』と言いたいです。できるビジネスマンは皆、無意識のうちに『対策を考えず、問題を考える』ことをしています。この前提にはしっかりと問題と対策を分けて考えることがあります。問題とは『解決すべき不具合なこと』、対策とは『問題を解消するためにやること』です。

 今回、チェーンストアのマネジメント技法を通して、いろいろな技法を紹介しましたが、その根底にはこの『対策を考えず、問題を考える』ことがあったのです。

 チェーンストアのマネジメントを磨くキッカケとして、是非『対策(まねること)を考えるのではなく、問題を考える』ことを考えてほしいです。

 今まで出会った一流の経営者、ビジネスマンは皆、問題の考え方が上手な人たちでした。