多くの消費者は、安全で安心なものを買いたいと思っているにもかかわらず、認証マーク(JAS規格〈品質〉や有機JAS〈生産の方法〉)が付いた商品を買うことにちゅうちょし、お得な商品をつい選んでしまいます。

 なぜなら、認証された商品の2割増しの価格には、安全・安心の対価に相当する価値を実感できないからです。

 それなのになぜ、消費者は「オーガニック(注1)商品」(認証の一つ)なら、2割増しの価格でも躊躇せず、時には購入するのでしょうか?

(注1)「有機の」という意味で、通常は農薬化学肥料を使わず有機肥料生産された農産物を指す。

 その理由は、メディア(SNSや雑誌など)を介して、セレブやモデルたちが自身のライフスタイルと称し、食べるものや着るものなどをオーガニックというキーワードで発信しているからです。

 今、オーガニックは消費者に、安全かどうかより、流行だというだけで求められていますが、オーガニックの商品は今後も支持され続けるのでしょうか?

オーガニックは店舗をブランドにする!

 例えば、ある人が肉を食べたいと思い、スーパーマーケット(SM)に行くとき、次の2つの買物パターンをとったとしましょう。

1.「焼き肉を食べたいからカルビかホルモンにしよう!」

2.「コーンを食べた牛より牧草で育った肉の方がおいしいよね!」

 消費者はオーガニックを志向するようになると、衣食住を含め、健康や環境を考えた買物行動をとるようになり、「部位」(カルビやホルモン用)より、「環境」(トウモロコシではなく牧草〈自然の飼料〉地で育つ)にこだわる選択を優先し始めます。

 すると、オーガニックを扱う店舗は、顧客の嗜好に沿って、カルビやホルモンという部位(モノ)ではなく、牛が育った環境(コト)を価値として提供するライフスタイルショップへと変化するわけです。

 その結果、周りからも環境を重視する点を評価され“いいね!”が集まるブランド価値の高い店舗となり、多くの顧客が支持するようになるのです。

オーガニックが意味する本当の価値とは?

 オーガニックの効用とは、安全・安心を望んだ消費者が体に気を付け、環境問題も考えるようになり、サステナブル(持続可能な)な自然と人間が調和するライフスタイルのよさに目覚めることです。

 今後、日本のSMがオーガニックを訴求し、環境までも意識するライフスタイルの素晴らしさへと、顧客を導くためには次の3つの具体策が効果的です。

(1)同じアイテムでオーガニックと非オーガニックを比較しやすいように隣同士に陳列し、生産方法が異なっている点をPOPで説明し(こだわった農家が生産している点、何にこだわっているか?)、価格の違う理由を開示する。

(2)オーガニックとして扱う商品を、旬のアイテム(注2)に絞り、目立つカラー(赤黄青)の青果も関連陳列し、POPで注目してもらう(「今、○○で人気」など、国や地域を入れて商品の最新情報を強調する)。

(注2)ドラゴンフルーツや芽キャベツ、キノアやチアシードなどのスーパーフード。

(3)オーガニックと無農薬の商品を並べて陳列し、オーガニックの優位な点(注3)の元で生産していることを試食により、味で体感してもらう。

(注3)自然栽培が生み出すいい部分(自然の味や栄養素)を最大限に受け継ぎ、最小限の人工措置の元で栽培していること。日本では認められた農薬・有機肥料のみ、種か苗を植える日からさかのぼり2年間(作物によっては3年間)、禁止された肥料や土壌改良材を使用せず育てること。自然栽培とは基本的に「無農薬」「無肥料」「不除草」「不耕起」による作物の作り方をいう。

消費者は安全・安心の先にある確かな生き方を求めている!

 オーガニックが今流行になっているのは、消費者が安全・安心の先にある確かな生き方を求めている現象とも言えます。

 小売店がオーガニックの優位点を理解し、生産者の想い(こだわりや手間のかかる作業の大変さ)を売場で伝えることができれば、消費者はオーガニック商品を選ぶサステナブルなライフスタイルをしてみたいと思うのです。