AIの登場で個人別アクションの最適化が可能に

 2つ目のポイントは、個人別のアクションの最適化が可能になったことです。AIの登場により、これまで一部の人に限られていたパーソナライズ化が一気に普及しつつあります。

 ドイツを拠点にしたヨーロッパの大手ドラッグストア、dmでは食品も扱っていますが、単にECで販売するだけでなく、料理教室やレシピの紹介まで個人別に提供することで顧客満足度を上げています。たとえばヴィーガン(菜食主義のための食材)のようなあまり一般には売れないものであっても、興味がありそうな人を選び、近くの店舗で料理教室をするので来てくださいと案内を出します。実際に料理教室に来ていただいたり、関連の商品を買っていただいた顧客には、関連するレシピをメールで送るという仕掛けです。普段あまり使わなかったり、どう料理して良いのか分からないような食材でも、このようにすればリピートしてくれるようになります。ひとりひとりの顧客に合わせたきめ細かな提案やフォローができているのです。

 アメリカのドラッグストアでは、発行するクーポンをひとりひとりの顧客に合わせて最適化し効果を上げています。購買の傾向によってお勧めする商品や割引の額、頻度を、顧客ごとに変えています。それによってクーポンのRY(利用率)は2倍にも高まりました。

 アメリカの百貨店では、顧客が来店した際、その顧客を認識して、さらにその動きを読みながら、売り場近くに来たら商品をレコメンドするなどパーソナライズした情報提供を試みています。顧客情報を用いて、本人のスマホやあちこちに設置されたIoTなどによって位置情報を得ながら、AIも活用して実現しているわけです。

包括的なデータ活用が可能に

 そして3つ目のポイントは、包括的なデータ活用が可能になりつつあることです。すでに欧米では数年前からカスタマージャーニーマップのようなルールを作って、決まったことを、決まったタイミングで提供していました。しかし、最近では顧客ひとりひとりの動きに応じてアクションを変えていく“適用型カスタマージャーニー”ともいうべきサービスが増えています。

 カナダのスコシアバンクの事例ですが、ローンの借り換えの時期に来ている顧客に対して、サイトを訪れた時にローンの広告が出るのは当然ですが、顧客が海外旅行保険を調べ始めると、旅行へ行くことを検知して、それならば「クレジットカードの限度額を引き上げませんか?」とお勧めするようなサービスを展開しています。顧客情報は支店にも引き継がれ、この顧客が空港の支店で両替をすれば、すかさず海外旅行保険を勧めます。もちろんこの顧客はサイトで海外保険を調べてまだ購入していないことを知った上でのことです。ここまで来ると“マーケティングオートメーション”と表現したほうがいいかも知れません。最近は特にこの方向へシフトしています。

 すでにSNSではチャットの言語を解析して、何に不満を持っているのか、投稿した写真からこの人は喜んでいるのかそうでないのか、そこまで認知する技術が進んでいます。企業内のデータだけではなく、外部のデータも合わせて活用すれば、顧客を知り、分析して、レコメンドを最適化するテクノロジーはますます進んでいくでしょう。

 SASではこれら3つのポイントすべてに対応した製品を提供しています。

 

 特にAIの実用化により、これまで難しかったリアルタイムでのパーソナル化も可能になりつつあります。顧客を認知して分析し行動を予測します。これまで難しかった予測も、AIのディープラーニングにより非常に簡単になりました。

 店舗の販売員でも、PCのECサイトでも、スマホでも、すべての接点で顧客に対しコンシェルジュとしてぴったりの究極のパーソナライズ体験を提供できるようになります。すべてのチャネルがシームレスに連携してつながるのです。そんな時代がすぐそこに来ています。