SAS Institute Japan株式会社
ソリューション統括本部 ビジネスソリューション統括部 マネージャー
原島 淳 氏

SAS Instituteは1976年の創業以来(※)、高度な分析と将来予測を可能にした革新的なソリューションを提供。全世界で当社のシステムを利用している小売・流通企業は900社以上、国内でもマーケティングやマーチャンダイズ、商品開発、品揃え、サプライチェーンの最適化、店舗オペレーションの改善等、多岐にわたる分野で利用されている。

※SAS Institute Japanは1985年設立。

小売業で注目を集めいている「顧客体験のパーソナル化」

 近年、小売の分野で特に注目を集めてきたのが顧客体験のパーソナル化でしょう。顧客ひとりひとりが求めているものを区別して提示し、購買へつなげ、ライフタイムバリューをもたらす。店舗では欲しいものを勧め、WEBサイトではユーザーひとりひとりに最適化されたコンテンツを配信する。

 顧客体験のパーソナル化ができている企業は業績をあげ、そうではない企業は顧客の離反を招く。そのような事態も現実に起こっています。今後も多くの小売業にとって大きな課題となるはずです。

 

 顧客体験のパーソナル化を進める上では、3つのポイントがあります。

 1つ目のポイントは、提供するサービスが多様化し、ありとあらゆる面から顧客にアプローチすることが可能になったことです。ECサイトでは、話しかければAIが求める商品をレコメンドしてくれます。店舗でも顧客の動きをビーコン等で検知し、そこでも求めている商品を提示します。バーチャルリアリティ等、商品が実在しなくとも、あたかも目の前にあり、使用を体験できるような技術もできてきました。

 有人のサービスに活用する事例もあります。

 高級アパレルを提供するニューヨークの高級百貨店、サックス・フィフス・アベニューでは、店舗での販売員によるセールスやサービスをそのままECサイトで実現しました。顧客がECサイトにログインするとパーソナル化されたコンテンツが紹介されるだけでなく、何か疑問が生じればすぐにアソシエイトを呼び出して問いかけることができます。チャットによるコミュニケーションにより、信頼感は深まり、販売へとつながるのです。

 オランダの銀行、ABNアムロ銀行では、銀行の窓口やコールセンター、支店、WEBサイトなどでのサービスが完全にシームレスで提供されています。たとえば支店の窓口で住宅ローンについて相談すれば、資料は紙でももらえますし、家に帰ってサイトを開けばWEBでも同じ内容のコンテンツが開きます。質問があってコールセンターに電話すれば、そこでも顧客が何に関心があるのか事前に理解して受け答えをします。どこでも顧客の履歴を共有して適切なサービスをシームレスで実現しているのです。