「平均値は評価」「実態値は問題発見」のために使用します。この違いを認識できないと正しい経営判断ができません。

指標管理の前提と、財務会計・管理会計の違いを理解しよう

 チェーンストアの経営指標を理解する上で財務会計と管理会計の違いを認識できることが条件となります。指標とは目標利益を確保するため、経営の事実を定量的に表し、最適なタイミングで管理者に意思決定を促すものという定義で話を進めます。

 財務会計は別名で外部報告会計、管理会計は内部報告会計と呼ばれます。このときの外部とは銀行・株主を指します。財務会計は正しい数値報告が目的のため、集計では『正確性』が一番に求められます。一方、内部とは企業内の管理者を指します。管理会計の目的は正しい意思決定ですから『よいタイミング』でのアウトプットが求められるのです。

 例えば、売上高集計。レジでの売上金は現金/クレジット等金種別の集計で、1円単位です。一方、日報/週報等の売上高はカテゴリー別で千円単位です。前者は財務会計上の売上高、後者は管理会計上の売上高です。財務会計は正確性、管理会計ではスピードと分かりやすさを求めるからです。

 財務会計上の売上高と管理会計上の売上高に微差が出るときがあります。集計思想が違うから当たり前なのですが、勘違いしている管理者の中に「財務会計上の売上高と管理会計上の売上高を合わせろ」と言う人がいます。

 これは大変な間違いで、管理会計上の売上高は集計スピードが命なのに、財務会計上の売上高と合わせるため集計が遅くなり、本来の目的である良いタイミングでの意思決定を阻害することになるのです。

 このようなことから、経営指標は管理会計の数値が使われ、最適なタイミングで管理者に意思決定を促すものとの理解が深まるはずです。

指標は「平均値」と「実態値」の概念に分かれる

 管理会計で集計された指標に基づいて意思決定するとき、平均値と実態値の概念があることを認識しなくてはなりません。例えば、人時売上高は週合計、そして月合計で作り上げた売上高を同じタイミングで使用した人時数合計で割ったものですね。このように週、月、年合計で集計されたものを平均値の概念といいます。

 この人時売上高はあまりバラツキませんから、店舗の実力を表しています。平均値の概念の目的が評価になるゆえんです。その数値が良かったのか、悪かったのかの評価するために使います。

 店舗の管理者はこの人時売上高を他店と比較して「悪い」と評価されることを嫌いますね。その理由は「悪い」という評価はできるのですが、その原因分析ができないため、「そう言われても……」という不満が残るからです。これが平均値の概念の特徴です。

 一方、人時売上高には、日別・曜日別の人時売上高があります。具体的には1月1日(月曜日)、1月2日(火曜日)等の人時売上高です、この曜日別の人時売上高は必ずバラツキます。この人時売上高はその日に使用した人時数でその日に得た売上高を割る計算がされているからです。

 従って、仕事量/質と売上高が直接的に結び付いており、現場を調査すれば人時売上高が低ければ低い理由、また人時売上高が高ければ高い理由が分かります。この人時売上高を実態値の概念と呼び、目的は問題発見です。

〈まとめ〉平均値は評価に、実態値は問題発見に使う

 このように平均値としての人時売上高は『良い、悪い』の評価として使用し、問題発見としては使用できません。一方、実態値の人時売上高は仕事と結び付いているため、問題発見の目的で使用できます。平均値の概念と実態値の概念をごっちゃにしてはいけないのです。

 この平均値、実態値の概念は人時売上高という生産性指標だけでなく、荒利、値入、経費、利益等、いろいろな指標でも使うことができると経営指標を見る腕前が上がります。