スマートストアで小売市場制覇を狙う

 2017年の「独身の日」に合わせて、新小売を明らかに意識したリアル店舗と連動した企画が数多く実施された。

 Alibaba傘下のTmallは、中国12都市の52カ所のショッピングモールに期間限定の実店舗「ポップアップストア」を60店舗オープンさせた。いずれもARやモバイル決済など最新のテクノロジーを採用した「スマートストア」とも表現できる店舗であり、このプロジェクトにはL'Oreal、Unilever、P&G、LEGOなど有名なブランドが100以上参加した。

 ストアでは「マジックミラー」と命名された試着サービスが用意されており、買物客はサングラスや衣料品を仮想的に試着できる。画面上のQRコードをスマホで読み取れば、Alibabaが提供しているスマホ決済サービス「アリペイ」で簡単に決済できるようになっている。

 元々、Tmall上で新商品を先行販売できる専用コーナーがポップアップストアと呼ばれていた。今回は最新テクノロジーを採用した実店舗版として期間限定で実施されたわけだが、当然ながらTmallとの連携にもさまざまな工夫が盛り込まれている。

 ARディスプレイを使って、興味のある商品をスキャンすれば、Tmallの商品掲載ページを開いてクーポンを受け取れるようになっている。実店舗独自の試みとしては、L'Orealのストアでは、レジに並ばなくてもいいように自動販売機が設置された。いずれもブランドも新しい小売の形をAlibabaと一緒に模索するいい機会として積極的に活用している印象を受けた。

 また、Alibabaは仮想的な商品棚を備えた「スモールストア」計10万店を中国の334都市に設置した。RFIDタグ対応のデジタル画面の前に商品を置くと、その商品のTmallでの在庫状況やレビューなどの情報が表示され、購入したい場合は、QRコードをスキャンしてTmallに注文する。

 これであれば、買物客はTmallで販売されている膨大な種類の商品の中から好きなものを選ぶことができる。在庫を一切置かず、オンラインで注文してもらう店舗は既に存在が知られていたが、Alibabaのようにこれだけ大量の拠点を一度に設置した例は初めてだろう。