成果には時間がかかる。長期的な取り組みが必要!

 1つ目の注意点は「長期的取り組みへの理解」になる。

 仮説検証型の場合は、PDCAサイクルを回し続ける継続性が重要だが、仮説なのだから全てがうまくいくとは限らない。初めてなら、なおさら、失敗する可能性が高いだろう。

 しかし、PDCAの事例としてよく挙げられるWeb業界と同様に、短期的な成果を期待するあまり、せっかく得た知見やノウハウを生かす前に、失敗と結論付けてしまう。

 Web業界の場合は、施策から検証までをデジタル上で行うことが可能で、高速でPDCAを回せる。しかし、リアル店舗の場合は人の手で行う作業が多く、どうしても時間やコストが必要になり、長期的な取り組みが必要な点を十分に理解しておく必要がある。

 仮説検証型の分析は継続することで、知見やノウハウを蓄積でき、それらを次に生かすことで効果を生み出していくものだ。可能ならば、あらかじめ経営層などに対して丁寧に説明し、承認を得ていることが望ましい。

 2つ目の注意点は「組織連携」である。

 大抵、データ分析と店頭施策を行う部署は異なっているのではないだろうか。この場合、両者間でデータ活用に対する共通認識を得られていないと、検証する施策の実施が困難になる。こうした事態に陥ると、結局は互いの妥協案による新たな仮説が設定され、本来検証すべきだった施策の検証を行えないことになる。そうなると、成果は出ないばかりか、問題点の把握すら困難になる。

 そのため、あらかじめ、関連する部署間でデータ分析への共通意識を持ち、適切な施策を行えるように、まずは1店舗のみで検証するなどの調整が大事になる。中途半端な検証を行っても、知見やノウハウは全く得ることはできない。

 3つ目の注意点は「検証データ」である。

 仮説を立て、店頭施策の実施を行い、いざ効果検証を行う段階になり、「DMを誰に送ったのかが分からない」「いつまで店頭施策を実施したのか不明」「比較対象店を設定していない」など、データがないということもある。これらは検証するための枠組みを整理していないことが原因だ。

 当然だが、データがなければ、検証はできない。検証する目的と照らし合わせて取得できるデータを確認しておくなど、どのレベルまで検証可能かを把握しておく必要があるわけだ。

〈次回に向けて〉具体的なデータ活用の事例を紹介します

 今回は、データ分析では目的が重要であり、小売業におけるデータ分析の目的には大きく「探索型」と「仮説検証型」があることを紹介した。さらに、その目的によって注意点が異なり、その内容についても述べた。細かいことをいえば、他にもいろいろと書いておきたいことはあるが、他ではあまり紹介されておらず、比較的見落とされる点に絞って紹介したつもりだ。

 次回は、具体的なデータ活用の事例を紹介したい。

(株式会社インテージ 先端技術部 増田純也)