小売業の方にPOS/ID-POSデータの活用を提案すると、次のように言われることがある。「POS/ID-POS活用に取り組んでみたが成果を出せず、無駄なコストを費やしてしまった」と。

 データ分析にそのような印象を持たれてしまうことは、非常に残念である。POS/ID-POSはダイヤの原石である。適切な処理を施せば、その本来の価値を持てるが、やみくもに磨いたところで輝きは得られない。今回はこうした事態を未然に防ぐために、小売業におけるデータ分析で成果を出すための方法論について紹介していく。

データ分析の方法は「目的」によって違う!

 連載の第2回でも記したが、データ分析をする上で「目的」は重要である。データ分析を指南する書籍や記事には必ずといってよいほど書かれている。この記事を読んでいる方も、そんなことは重々承知だろう。

 それなのになぜ、データ分析に取り組んでも結果が出ないのだろうか。

 その原因としてデータ分析の型の違いが挙げられる。

 データ分析は目的によって大きく2つに分類される。そして、その違いにより分析の進め方が異なる。その点をあらかじめ意識していないと、分析の目的が変わってしまったり、当初の目的がよく分からなくなったり、最終的にデータ分析の取り組みが失敗してしまう。

まずは「探索型か」「仮説検証型か」をはっきりさせる

 データ分析の目的は大きく「探索型」と「仮説検証型」の2つに分類される。

 探索型は、「ある事象に対して関心があり、それに関連する要因との因果関係を探し出す」ことを目的とする。例えば、売上げが減少しているときに、その要因を特定する分析などがこれにあたる。

 一方、仮説検証型は『高齢者に対して健康食品Aを推奨したら売上げ増が見込めるのでは』といった「店頭施策の有効性などの仮説の検証」が目的である。

 前者が全体を俯瞰しながら進めるマクロ的な視点なのに対して、後者は領域を絞り込みミクロ的視点で行われる。

「探索型」ではロジックツリーを活用しよう!

 探索型では、最初に取り組むべき事象に関連する要因の列挙・整理が必要になる。そのための有効なフレームワークとして、「ロジックツリー」を紹介する。

 ロジックツリーとは、関連する事象の因果関係を、上位概念から下位概念へと落とし込んでいくことで、事象の因果構造を整理する思考方法である。

図表① 売上げに対するロジックツリー

 図表①は売上げに対して行ったロジックツリーの例である(スペースの都合上、この店舗の売上げはカテゴリーAとBの2種類で成り立っているものとする)。

 売上げが減少している場合、必ずカテゴリーAかカテゴリーB、もしくは両方の売上げが落ちているはずである。さらにカテゴリーの売上げが落ちているということは、そのカテゴリーを購入している顧客数もしくは購入金額が落ちているはずである。

 このように階層を落としていくことで、分析の範囲を明確できる。

 探索型の分析をする場合、ロジックツリーは一つとは限らない。カテゴリーの側面から要因を整理する場合もあれば、性別や年代といった顧客層から要因を整理していくこともある。どれが正しいということはなく、重視する要因から整理していくことになる。このように作成したロジックツリーを用いながら要因を明らかにした後、各要因の指標を計算・確認を行っていくのだ。