小売店は、2月、3月と新型コロナウイルスの対応で大変忙しかったと思います。消費増税の影響で売上げが伸び悩んでいましたが、コロナショックは小売店には追い風となりました。しかし、忙しさに紛れて猶予期間があまりにも長かった『食品表示法』がスタートすることを忘れていませんか。

 食品表示法が施行されたのは5年前の2015年です。猶予期間が終わって、4月からは完全実施となります。法律違反の商品は、店頭に陳列できないので、十分注意しなければなりません。

 食品表示法は、従来の表示基準とは大きく変更されたところがいろいろありますが、特に小売店が注意しなければいけないのが「栄養成分表示の全面義務化」「原材料と添加物の明確な区分」「アレルギー表示」の3つです。

意外なものに「栄養成分表示」が必要に!

 青果では「カット野菜ミックス」「カットフルーツミックス」、鮮魚では「刺身盛合せ」、精肉では「焼き肉盛合せ」のように、単品では生鮮食品であっても、種類が違うものを一緒にパックすると加工食品になります。これらの商品を店内で加工した場合は、栄養成分表示は免除されますが、店外で加工した場合は免除されません。

 店外加工の一つに仕入商品がありますが、これは店舗側が表示する項目はないので問題ありません。ただし、店舗のバックヤードで盛り合わせる場合は、栄養成分表示は免除されますが、添加物表示とアレルギー表示は免除されないので、要注意です。

 また、原材料名に、原材料と添加物を表示する場合は、「/」等の方法で原材料と添加物を明確に区別して表示することも必要になります。

 もう一つ、注意しなければならないのが、センター加工や他店舗加工の商品です。店舗と同一敷地内で加工した商品は店内加工と認められますが、センターや他店舗で加工し店間移動した場合は店外加工になるので、栄養成分表示や原材料は免除されません。

  • 【次の問題が分かれば表示のプロです】
  • Q.店内で次の行為をしました。この商品は「製造」か「加工」か「どちらでもない」か。さて何に該当するでしょう。
  • 『面白いほどよくわかる食品表示』(商業界刊)より

  • ①キャベツを半分に切ってラップで包んだ「キャベツ1/2個」
  • ②刺身用のマグロを切ってパックした「刺身1点盛」
  • ③刺身用のマグロとイカを切ってパックにした「刺身2点盛」
  • ④刺身用のマグロとゆでダコを切ってパックにした「刺身2点盛」
  • ⑤加熱用のブリを切ってパックにした「ブリの切り身4切れ入り」
  • ⑥塩サケを切ってパックにした「塩サケの切り身4切れ入り」
  • ⑦ハムの塊をスライスしてパックにした「ロースハム200g入り」
  • ⑧バルク仕入れのシシャモを小分け包装した「シシャモ10尾入り」
  • ⑨筋切りをした生の牛肉
  • ⑩生の牛肉をあぶった「牛タタキ」
  • ⑪生の牛肉を焼いた「牛ステーキ」
  • ⑫仕入れたローストビーフをカットしてパックにした「ローストビーフ」
  • ⑬店内で牛肉を焼き、それをカットした「牛カットステーキ」
  •  

A.次の通りです。

  • ・どちらでもない:①②⑤生鮮食品の切断は加工にならない
  •          ⑨筋切りも切断と同じで非加工
  • ・加工:③同種盛は非加工だが、複数種類の盛合せは加工
  •     ④生鮮食品と加工食品(ゆでダコ)の盛合せ
  •     ⑥⑦⑫加工食品(塩サケ、ハム、加熱した牛肉)の切断は加工
  •     ⑧加工食品の小分けは加工
  •     ⑩生鮮食品の表面だけをあぶるのは加工
  • ・製造:⑪生鮮食品の中まで加熱するのは製造
  •     ⑬製造と加工(加工食品の切断)を同時に行えば製造

加工していないのに「加工者」の表示が必要なものも

 ①②⑤⑨のように、野菜や果物、魚介類、食肉をカット(切断)や筋切りをしただけでは、加工にも製造にもならないので生鮮食品のままです。生鮮食品の横断的義務表示(注1では、表示責任者や衛生上の責任者の表示は義務付けられていません。

 ところが「生食用のむき身切り身の魚介類」と「食肉」には、個別的義務表示(注2で「加工者」の氏名等の表示が義務付けられています。①は「生食用切り身」、⑧は「食肉」に該当するので、加工者等の表示が必要です。

 ①と⑤は、それらに該当しないので、「加工者」等の表示は必要ありません。もしも表示する場合は、加工(加工者)にも製造(製造者)にも該当しないので「販売者」とするのが適切です。

 ただし、①②⑤⑨は、計量法で定められた特定商品に該当し密封されているので「内容量と表示責任者」を表示することが義務付けられています。

注1)横断的義務表示:食品に共通して義務付けられている表示のこと。生鮮食品は「名称」と「原産地」

注2)個別的義務表示:特性のある食品だけに義務付けられている表示のこと。水産物の「養殖」「解凍」表示も個別的義務表示の一つ

消費者でも簡単に違反が見抜ける

 食品表示法は、表示の知識を少し知っている消費者でも、簡単に違反かどうかの見分けができる項目が3つあります。

  • ①原材料と添加物を区分するための印が「/」ではなくが「・」のままになっている。
  • ②加工食品に栄養成分表示がない。
  • ③アレルギーの一括表示が「一部に・・・を含む」になっていない。

 表示違反の商品は、販売はもちろん陳列することもできません。しかも、生鮮食品の原産地表示であれば、「表示がなかった」「表示が間違っていた」という場合でも、バックヤードに下げてPOPの表示を修正するとか、シールを張り替えるということで、簡単に処理できます。しかし、栄養成分、原材料名欄、アレルギー表示は、バックヤードで簡単に表示することも、修正することもできません。

 表示が正しくなければ、売りたい商品も売ることができません。違反表示が多いと、行政指導を受けることもあります。今一度、表示を確認してください。