東京都の小池知事の「都市封鎖」発言から始まり、東京都が週末の外出自粛を要請し、都に隣接する県は都内への外出自粛を要請しました。この発言が、消費者の買い占めに拍車をかけましたが、東京から始まった買い占め行動は、翌日の朝から首都圏に拡大しています。

 東京都や業界団体は「在庫が十分にある」と一所懸命アピールしていますが、店頭にどれだけ並べることができるかは別問題です。

 トイレットペーパーを見れば分かりますが、せっかく物流体制が整ったのに、また買い占めが始まりました。流通在庫がなくなれば、ほほ100%近く国産とはいえ、すぐに大量生産できるわけではありません。

 一方、食料品や嗜好品、生活必需品は、そんなに簡単に生産・製造できるものではありません。具体的な食材や商品名はあえて出しませんが、売れ過ぎているのが何かは、小売店の皆さまには分かるはずです。

消費量の2倍買えば、在庫がもつ期間は半分に

 3月17日の予算委員会で、江藤農水大臣は、食糧確保が難しくなるのではないかという問いに対し「今のところ、海外からの輸入が滞っていることはない」が「深刻な事態も想定しなければならない」と答弁しています。

 さらに「米は政府備蓄と民間在庫合わせて国民の消費量で計算すると6.2カ月分、小麦は2.3カ月分、大豆の民間在庫は1カ月分」と述べています。もしも、消費者が消費量の2倍を買い占めれば、米は3カ月の在庫となり、小麦は在庫がなくなり、大豆はすぐになくなります。

 米は、今年の秋まで生産はありません。今後「輸入先を変えなければならないかもしれない」と大臣は述べていますが、小麦の2大輸入先である米国と豪州に変わるところはあるのでしょうか。

 これで在庫が十分にあると言えるのでしょうか。生鮮品には1年中生産できるものもありますが、季節があります。輸入生鮮品はいつまでどのくらいの量が輸入できるのでしょう。青果、鮮魚、精肉等、すべての商品で、生産・流通が違います。それぞれ条件が異なっています。

 この先、東京都も含め首都圏等での自粛が、今週末の2日間だけで終わることは考えられません。深刻な事態が起これば、すぐにでも緊急事態宣言を出そうと準備を進めています。緊急事態宣言が出されると、ますます食料品や生活必需品は手に入らなくなります。

 もしも都市封鎖ということになると、食料品は国が統制するようになり、事業者の自由は奪われるかもしれません。

売るものがなくなれば店はつぶれてしまう

 では、緊急事態宣言や都市封鎖が起きる前に小売店がしなければならないのは何でしょう。今は、消費者の買い占めがクローズアップされていますが、水面下では小売店による買い占めが進んでいると考えるべきです。

 何をどれだけ仕入れればどれだけの売上げが上がるかは、小売店の皆さまには詳細に分かるはずです。その食材、商品を力のある小売店・企業が買い占めようとするのは自然の流れです。

 あなたは、そうした食材、商品は、いつまで仕入れられるか把握していますか。売るものがなくなれば店はつぶれます。

 今、消費者は、行きつけの店に買物に行く状況ではありません。物がある店に行くのです。特に中小小売店は、売れるものが手に入らず、売上げが半減すれば、何カ月持ちこたえることができるでしょう。

 トイレットペーパーで分かったように、中間業者に在庫があっても、運ぶトラックがなくて店頭に届かないこともあります。食品は、そんな簡単なものではないことは、小売店の皆さまなら十分分かっているはずです。

 今、1カ月の発注をしてどれだけの業者が「大丈夫、任せてくれ」と言えるでしょう。簡単に「問題ないよ」と言われたら疑った方がいいでしょう(おそらく入ってこないでしょう)。

 日本の流通が、どれだけ複雑なのかは言うまでもありません。生鮮品でも、市場に行けば欲しいものがどれだけでも手に入るわけではありません。すでに食品の奪い合いは始まっています。

 この連載の2月28日に配信した『新型コロナウイルスに振り回される消費者、小売店の責務は限定販売をしないことだ!!』で述べたように、消費者は目の前に山と積まなければ品不足だと認識します。しかし、トイレットペーパーでは、一部を除き実現できませんでした。

小売店が今すべきことは何か?

●できるだけ直取引をする

 中小小売店が生き残るのは、今まで以上に直取引を多くできるかにかかっています。従来の仕入れ業者はもちろん必要ですが、品不足の緊急事態のときには、中間業者には物が集まりにくくなります。特に、スーパーマーケットには、生鮮食品をいかに仕入れられるかが、これからの生命線になります。

 それば、青果売場だけのことではありません。問題は、スーパーマーケットの稼ぎ頭である弁当・惣菜も同様です。外出が事実上禁止状態になると、料理をする家庭は生鮮食品を買いますが、料理をしない家庭も多く、そうした家庭では、出前かテイクアウトか弁当・惣菜を買うかの選択を迫られます。

 そのときに、今までのように、半製品を仕入れて商品を作るということが難しくなってきます。できるだけ生鮮食品を仕入れて、店で一から調理をする体制を整わせなければ、弁当・惣菜が作れません。弁当・惣菜でも、何が、いつ、どのくらいの量を確保できるのか、正確に把握しなければならないわけです。消費者は、商品がある店を探せばいいですが、小売店は「発注していたのに届かなかった」では商売になりません。

 東日本大震災のときを思い出してください。食品の品不足は全国規模で起きました。特に、米や飲料水です。飲料水は、東京都で水道が一部汚染されたことによるものですが、地方で品不足が起きた原因は「首都圏に住む息子や娘家族に食品を送る」ことでした。

 同じことが、コロナショックでも起こらないとは限りません。「首都圏で手に入らないなら、息子や娘に食品を送ってあげよう」という親心からの行動もまた自然なことだからです(もちろん、地方でもいつ何時、外出自粛が起きるか分かりませんが)。

4月の商品確保の状況を確認する

 今まで述べてきたことが、「そんな事態にはなっていない」ということであれば安心です。しかし、在庫が十分にあると国や業界が言い続けたトイレットペーパーは、いまだに品不足が続いています。食品はそんな簡単にはすみません。

 個別の商品は挙げませんが、あなたの店で4月に売れる商品は本当に確保できているのでしょうか。