低アルコール市場(RTD市場とも呼ばれる。缶チューハイや缶カクテルなど、そのまますぐ飲める低アルコール飲料の市場を示す)が好調である。とりわけ、アルコール度数が高く、レモンやドライなど甘くないフレーバーの需要が拡大している。

市場全体は前年比7.7%増

 低アルコール市場は、2013年以降成長を続けており、17年1~10月で販売金額2505億円(前年同期比107.7%:インテージ全国小売店パネル調査〈SRI〉調べ)と好調である。アルコール度数別では、8~9度のストロング系が17年1~10月で販売金額1043億円(前年同期比111.6%)と大きく伸びている。

 

 

 低アルコール飲料は、消費者の低価格志向が強まる中、スーパーマーケット(SM)やディスカウントストアなどの量販店では100円程度の手頃な価格で販売されており、人気となっているようだ。低アルコール飲料の中でも、ストロング系商品は、手軽に酔うことができるという特徴が消費者から支持されていると考えられる。

人気はレモンフレーバーとドライフレーバー

 ストロング系の販売金額をフレーバー別にみると、最も販売金額の大きいレモンフレーバーが堅調である他、ドライフレーバーが急伸している。レモン・ドライフレーバーともに甘くないという特徴があり、食事との相性もよいことから、食事中の用途での飲用が増えているのだろう。

 例えば、サントリースピリッツは、度数9度の低アルコール飲料「-196℃ストロングゼロ」を、「甘くないから食事によく合うチューハイ」として訴求し、食事中の需要獲得を図っている。また、アサヒビールは、度数9度の低アルコール飲料として、「ウィルキンソン・ハード無糖ドライ」「ウィルキンソン・ハード無糖レモン」を2017年に発売し、肉料理との相性を訴求している。

 低アルコール市場のその他の動向として、家庭でも本格的なチューハイを飲みたいという需要を取り込もうと、「果汁感」を訴求していることが挙げられる。

 例えば、サントリースピリッツ「-196℃ストロングゼロ」では、「果実まるごとの浸漬酒と果汁をダブルで使用している」と果実感を訴求している。また、アサヒビールが展開する度数9度の低アルコール飲料「もぎたて」では、「収穫後24時間以内搾汁」と新鮮な果汁の味わいを訴求している。

 アルコール度数でユーザーが異なる

 インテージ全国消費者パネル調査〈SCI〉によると、低アルコール飲料のユーザーは、男性が63%を占めており、中でも40代が20%、50代が17%と中高年の割合が高い。

 アルコール度数別に見ると、1~3度では女性が54%と過半数以上を占めるのに対して、8~9度では男性が71%と多くなっている。度数8~9度の低アルコール飲料のうち、とりわけドライフレーバーでは男性の構成比が高く、40代・50代で59%と過半数を占めている。

 消費動向の変化を見ると、2017年6月の酒税法改正以降に、ビール類の中でも低価格である新ジャンルの購入金額を減らし、低アルコール飲料の購入金額を増やしていることが分かる。酒税法改正によるビール類の値上げをきっかけに、価格に敏感な新ジャンルのユーザーが、より安価である低アルコールにシフトしていると考えられる。

 

年末年始の食中酒の座を狙え!

 低アルコール飲料は、食事とも相性がよいこと、手軽にコスパよく酔えることに加えて、素材や製法による果汁感などが消費者から支持されている。度数が低い商品では女性ユーザーを、度数が高い商品では中高年を中心とする男性ユーザーを取り込んでいる。

 これから迎える年末年始は、家族や友人と集まり、食事と一緒にアルコールを消費する機会が増えてくるシーズンである。食事との相性などを訴求し、食事中の需要獲得を図ることで、今後も低アルコール市場は堅調に推移していくと考えられる。

(株式会社インテージ パネルリサーチ推進2部 アナリスト 木地利光)