3月20日に行われた新型コロナウイルス感染症対策本部の会議で、「3つの条件が同時に重なるような場を避ける行動を国民にはお願いしたい」という話が語られました。店側もこの条件をよく理解し、クラスター(集団)発生しないように気を配る必要があります。

 日々ニュースでも報じられていますが、厚生労働省は、諸外国の行動制限等の現状についてを3月23日付でまとめています。一部を抜粋すると、米国では10人以上の社会的会合やレストラン等での食事を禁止、レストラン・バー等の店内営業が禁止。スペインでは生活必需品の販売店を除く商店、文化施設、レストラン等の営業停止、フランスでは移動に際して証明書類を所持することが義務付けられ、外出時に持っていないと罰金となります。医療現場や社会の混乱も大きく、実質上の外出制限、不要不急の移動を制限される国が増えてきました。

 幸い、記事執筆時点の日本ではこうした状況には陥っていません。でも外出禁止令や制限が出されれば、今以上に経済が厳しくなることは確実です。感染が爆発してそうなることを防ぐために、現在営業している店舗は正しい対策を行ってほしいと思います。

 また、リアル店舗で新型コロナウイルスの感染が発覚した場合、営業停止に伴う損害は大きいです。停止期間中の売上げはもちろん、再開するまでの清掃費、人件費、商品管理に伴うコスト、再開後の営業活動など現場は疲弊します。売上げ減やコスト増を懸念して対策を怠るよりも対策を行う方が、おそらく営業停止よりはコスト、ダメージは低リスクで済みます。

 正しい対策はお客さまのためだけではなく、お店を守るため、地域を守るため、なによりそこで働く従業員を守るためでもあります。営業を続ける店舗は、自店に合った対策を行ってほしいと思います。

①「換気の悪い密閉空間」の対策

 

 リアル店舗は、通常営業をしていると密閉空間になりがちです。店舗の窓を少し開けておく、または定期的に窓を開けて空気の入れ替えを行うことはすぐにできる対策です。高層ビル等で窓が開けられない場合は、個室があれば部屋ごとのドアを開けておく、来店が少ない時間帯でも定期的にドアを開けるなど自店でできる対策を考え、できるだけ外気を取り込みましょう。

 ここまでは既に行っている店舗も多いのですが、行う際には「理由付きの掲示」も必ずセットで行ってください。「新型コロナウイルス対策の換気のため、窓やドアを定期的に開けています」など、口頭でのアナウンスや掲示をするのです。

 お客さまにはいろいろな方がいます。例えば寒いからといって窓をすぐに閉めてしまうお客さまがいれば、せっかく店舗側が対策していても意味がありません。行動だけでなく「こういう理由で、こういうことをやっています」という案内は、来店客の行動を変え、安心にもつながります。密閉空間を作らない対策と同時に、なぜそうしているのかの理由も意識的に公開してください。

②「多数が集まる密閉場所」の対策

 

 ドラッグストアやスーパーマーケットなどチェーンストアならともかく、多くの個人店舗は、ただ待っているだけでは通常時の売上げを取れなくなってきていると思います。

 既に多くの店舗が行っているように、人と人との間隔を空けてご案内する、時間制の貸し切り営業を呼びかけるなど、「空いていること」を強みにしてください。逆に需要が高まり混雑している店は、混雑状況を緩和するために店側があえて入店制限をするなどの工夫も必要です。

 平時には少し抵抗がありますが、「私たちは困っています!」と訴えかけると、意外と耳を傾けてくれる人はいます。でも困っていることを明かさなければ、「大丈夫なんだな」と判断されて、そのままスルーされてしまいます。

 お店都合に受け取られないよう、伝え方にも注意が必要です。例えば自店の状況を伝えるとともに「(お店が)今は空いていますので、(お客さまは)少人数でごゆっくり利用いただける状況となっております」など、利用者目線で案内することも一つの方法です。主語をお客さまにして言い換えるだけでも、だいぶ受け手の印象は変わります。

 さらに「私たちはお客さまと従業員の安全のために、こういう対策を行っています。だから可能な範囲で安心してご利用ください」と案内すれば、受け取り方も変わってきます。

③「間近で会話や発声をする密接場面」の対策

 

 ホテルなど従業員とお客さまとの交流が多い業態なら、利用者が安心して過ごせるように、交流を最小限にするプランを打ち出すことも一つの方法です。カップルや家族連れなど、他人に気兼ねなくのんびり過ごしたいというニーズは多いです。通常時には行えないような期間限定の「ノー接客・おこもり選択肢」を用意するのはいかがでしょうか?

 現在、マスクは入手困難になっています。接客時の会話での唾や咳による飛散を防ぐためなら、大型のハンカチやバンダナ、布マスクで口元を覆うことでも防げます。意外にも口で腕を覆うなどの咳エチケットをしている人はあまり見掛けないので、習慣付いていない行為に咄嗟に対応できない人も多いのだと思います。花粉症の従業員がいるなど、必要な理由があれば接客時にこうした代用品の使用も検討してください。

 また矛盾するようですが、お客さま側から出されたならともかく、接客などで店側から新型コロナウイルスの話題を持ちかけるのは、できればやめた方が良いように思います。今回のことでお客さまの職場が休業していたり、身内に入院している患者がいるなど、外出が非日常になっていたりコロナの話題に触れてほしくない可能性も高いからです。

 お店の業態によっては、非日常やリラックスを演出しているところも多いです。感染症対策はしっかり行ってお伝えはしつつも、できればそれ以外の部分では楽しい時間を過ごすような気遣いをしてほしいと個人的には感じます。

かかった経費は必ず記録・保存を

 

 最後に、今回の新型コロナウイルス対策でかかった費用は記録し、全て保存しておくことをお勧めします。現在は保証の対象とされていないようなものも、全てです。

 実際の保証までには時間がかかるかもしれませんが、新型コロナウイルス対策に使ったものならば今後の特例措置で対象となる可能性もあります。レシートや領収書を保存しておくことはもちろん、ない場合でも購入日時、場所、目的、金額は書いておくことが重要です。のちのち保証対象となった場合に記録が残っていれば、スムーズに手続きが行えます。

 オリンピックの延期が決定されるなど、状況は日々変わっています。事業主向けの支援策にも目を向け、引き続き対策を行ってほしいと思います。