ジュングループがナイキと協力体制を組んで運営する「NERGY」は、女性向けスポーツ業態。NERGYは「エナジー」と「シナジー」を組み合わせた造語から。

 2014年にユナイテッドアローズがプロデュースしたアスレジャー業態店舗の『アンルート二子玉川店』が2018年1月をもって閉店することになった。今後、メンズのオリジナル商品はビューティ&ユース内で自社レーベルとして販売継続をしていくとのこと。

 銀座店、(2017年2月閉店)、二子玉川店と2店舗での営業で、これで専業による店舗運営はなくなってしまうわけだが、これから迎える平昌冬季五輪、東京五輪などスポーツ機運が高まってきている今、アスレジャービジネスについて考えてみたい。

ユナイテッドアローズは過去にもチャレンジ

 過去にもユナイテッドアローズは、この分野に近いチャレンジをしている。それは2007年にスタートして2011年に終了した『サウンドグッド』だ。当時はアスレジャーという言葉も浸透しておらず、“心と体の健康が、これからのおしゃれ”をコンセプトにオリジナルのスポーツレーベルを展開した。

 出店場所もサウンドグッドは原宿のファッションと若者の街からで、アンルートは銀座、二子玉川と大人をイメージさせる場所。それぞれ対象ターゲットの違いはあるものの、ファッション企業が手掛けるスポーティファッションの難しさを改めて感じさせられた。

アスレジャー業態『アンルート』が残した功績

 アンルートが事業を開始した2014年ごろから、スポーツブランド各社もアスレジャーを背景にファッションラインを強化した。アディダスオリジナルス、ナイキF.C、チャンピオンCPFU、そしてデサントのオルテライン等が挙げられる。これらのラインの商品は、アンルートの品揃えの幅も広げるのに一定の効果があったと思う。

 しかし、同時にスポーツブランド側もこれらのファッションラインをブランドとして直営に乗り出す動きも活発化した。アディダスオリジナルスは全国に39店舗、ナイキラボ、デサントのオルテラインは7店舗を主要都市中心に構える。

 他にも、アンルートはここに取り上げていない世界中のオシャレなスポーツブランドをセレクションしてきた。特にデサントのオルテラインは、アンルートでの取り扱いによってブランド認知力のアップに大きく貢献したのではないかと思う。

高機能という商品特性故のPB開発力の難しさ

 もともとユナイテッドアローズは、セレクトショップからスタートして、一流NBの廉価版としてのPB開発が成功した事業モデル。サウンドグッド、アンルートでも同様にPB化を進めたものの、NBと比較してファッション、価格、機能面での優位性が思ったほど消費者の支持につながらなかった。そして何よりスポーツブランドに対する消費者の絶対的な安心感と高品質に対する信頼感は、今までのアパレルブランドと比較できないくらいに厚かったと思われる。

 同じような業態として今年の初めには、ジュングループのヨーロピアン・コンフォートコンセプトの『ル・ジュン』が、やはり4年目にして撤退。SPAでもアダストリアのファミリーブランドの『グローバルワーク』のアクティブライン、ファーストリテイリングの『GUスポーツ』といった高機能とファッション性を組み合わせたアスレジャーラインは、ことごとく苦戦を強いられているように見える。

 そうした中で、スポーツブランド以外で成功を収めているブランドはユニクロだ。最早、量産の桁が違う同社の開発力くらいでないとスポーツNB商品と対抗できないのかもしれない。そしてブランドアンバサダーには錦織圭選手やアダムスコット選手を起用、こうしたイメージ戦略も消費者との安心感と信頼感にひと役買っている。

新たなアスレジャー戦略の動きも出てきている

マッシュホールディングスの「emmi」は女性向けのスポーツ&ヘルシーコンシェルジュストア。他にもスニーカーに特化した業態やウエルネスをコンセプトにした業態店など全5業態を展開している。

 では、「ファッション×スポーツ」を掛け合わせたアスレジャービジネスはNBとユニクロ以外でのローンチは難しいのだろうか。

 いや、健闘しているケースがある。ターゲットを絞り、ウエルネスや美容を加えたブランドは支持を集められているようだ。その代表ブランドはマッシュホールディングスの「emmi」。女性専用のスニーカーに特化した店舗もあるように、スポーツブランドのNBがあまり得意としていなかったカテゴリーを、取り上げて潜在していたニーズを掘り起こした。

 また、最近ではファッション企業が直接「コト」の運営に乗り出す動きがあるようだ。ベイクルーズは今年4月にカリフォルニア発のバーエクササイズ「カーディオ・バー」を自由が丘に展開、2号店を11月下旬に渋谷にも出店した。

 ジュンもフィットネスブランド「ナージー」で武道をコンセプトにエアロビクススタジオ「スタジオNAFA」の運営を通じて「B.I.F by NERGY」を原宿ゼロゲート(来春開業)に出店する予定。TSIホールディングスもゴールドジム原宿東京ANNEXジム内にオリジナルブランド「グルーヴ ゾーン」を展開し、アスレジャースタイルの提案強化を狙う。

スポーツブランドの弱点を突きつつ、ユニクロと戦え!

「ファッション×スポーツ」という観点で捉えた場合、スポーツブランドに長年のノウハウを含め、分があるように思える。

 そうでなければユニクロ開発商品の「品質+価格」とどう競い合えるか、既存のスポーツブランドが不得手とする部分を取り込みながら、展開する方法が今のところ懸命に思える。ファッション企業がファッション以外のカテゴリーを取り込んで成功したケースは無印良品くらいではなかろうか。取り入れ方や展開手法など超えるべきハードルは思いの他、高いといえる。