連載『商売にまつわる深~い雑談』。日本唯一の流通アナリストで、約730品の商品開発に携わるマーケター、現コンビニアルバイターでもある渡辺広明さんと、都内に住む30代サラリーマン「テキ・パキオ」さんが身近な商品や店舗などにある深~い雑談をしていきます。

渡辺広明(以下渡辺):今日はセブン-イレブンで人気の一風堂コラボ商品を食べ比べてみたいと思っています。パキオさん、お腹減ってます?

テキ・パキオ(以下パキオ):はい。大好きなラーメンをたくさん食べられると聞いてきたので朝食を抜いてきました。

渡辺:それじゃ早速、チルドラーメン「一風堂監修 博多とんこつラーメン」(税抜き460円)をレンジで温めましょう。

 

パキオ:セブンのチルド麺ってこれまでにも「とみ田」や「すみれ」とコラボしていましたよね。他のコンビニよりコラボ好きのイメージがあります。

渡辺:今年1月に発売された「一風堂監修 博多とんこつラーメン」はスープを固めずにストレートスープを採用。食べる直前まで麺とスープが触れないように容器が仕切られています。

パキオ:具材はチャーシュー、ネギ、きくらげ、モヤシとシンプルですね。加熱時間はコンビニのレンジ(1500W)で1分50秒、家庭用レンジ(5分30秒)。ではいただきます!お、思ったよりも麺が固めで本物っぽい。

渡辺:スープもうまい!これで500円以下なら、僕買いますよ。スープが進化したのは業務用ガラスープメーカーの努力の賜物ですね。専用の機械でスープの成分を細かく解析、ヒトの味覚による最終調整し、砕きとんこつ製法なども再現され作られているため、ほぼ本物に近い味が再現されている。

パキオ:豚骨本来のまろやかさがありますし、付属されている特製スパイスを入れなくてもいいですね。強いていえばモヤシがもうちょっとシャキッとしていてほしい。レンチンだから難しいんでしょうけど…。

 

渡辺:次はカップ麺の「一風堂 赤丸新味博多とんこつ」(税抜き258円)。袋を開けると、チャーシューにかやく、粉末スープ、液体スープ、トッピングの黒香油と辛みそ。袋が5つもあって面倒くさいですね(笑)。熱湯を注いで待つこと3分。

パキオ:おぉ、こっちの方が麺が圧倒的にうまい! これで価格差が202円もあるんだったら僕はカップ麺を選びます。

 

渡辺:(麺をすすりながら)確かに! さすがセブンと日清、一風堂のトライアングルPB商品だ。リニューアルしてるとはいえ、20年売れ続けているだけのことはある。ただ僕からすると、5個も袋を開けて作るのが手間だと思っちゃう。レンチンだけの方が簡単じゃないですか?

パキオ:僕は手間より味と値段を優先してしまいます。というのも男の人はどちらも一つだけじゃランチとして物足りないじゃないですか? だから多分、コンビニでおにぎりとかサラダ、あるいはカウンターフードの唐揚げなんかを一緒に購入すると思うんです。

渡辺:なるほどね。ではここで〝本物〟を食べに行ってみましょう。

 

【2人で一風堂浜松町スタンドに移動。「赤丸新味」(820円)「白丸元味」(750円)を麺の硬さ「ふつう」で注文】

渡辺:比べちゃいけないんだけど、出来たては違うね。麺の食感といい、スープの複雑さといいレベルが違う。

パキオ:そうですね。チルド麺はお店の「白丸元味」に寄せているのでしょうけど、全然違います。特に麺類は出来たての料理にかないませんって。

渡辺:ラーメンという商品特性上、チルド麺であれカップ麺であれ完全に再現するのは無理ですからね。となると、コンビニがどうチルド麺とカップ麺を併用していくのか気になるし、個別のバイヤーではなく、商品部の責任者が味と価格のバランスを鑑みて、販売していくことになると思います。

パキオ:そうですね。カップ麺は高くても300円以下、チルド麺が600円以下じゃないと、お店のラーメンと差別化が図れない。

渡辺:オフィスに戻って、最後に冷凍食品の「一風堂 博多ちゃんぽん!」(税抜き358円)を食べてみましょう。

パキオ:レンジ(500W)で具付き麺を8分加熱。解凍いらずの液体スープを250ミリリットルのお湯で作って、麺を移したのちに「赤丸辛味噌」を加えると…。今までで一番手間がかかりますね(笑)。

渡辺:一風堂の〝幻のまかない〟ってことで、現在の実店舗では味わえないんだろう。1日に必要な野菜の3分の1が摂取できると書いてありますね。

パキオ:麺に黒コショウが練り込んであるんですね!フツーにおいしいちゃんぽんなんですけど、一口で一風堂かどうかって聞かれたらわからない。なぜこれを出したんでしょうか(笑)。

渡辺:通常製品とそれほど変わらない原価でも、有名店コラボにすれば価格を高めに設定できるからですよ。

パキオ:そうなんですね。でもリピートしたくなる味と価格のバランスって本当に難しいですよね。忙しくて面倒くさがりな人はレンジアップするチルド麺、味と価格重視ならカップ麺ということでよろしいでしょうか?

渡辺:今のところはね。調理技術の進化も早いからまたいつか食べ比べしましょう!

  • [プロフィール]
  • 渡辺広明:浜松市出身。2児の父。マーケティングアナリスト、日本唯一の流通アナリスト、コンビニ評論家、流通ジャーナリスト、約730品の商品開発に携わるマーケター、元コンビニバイヤー、元コンビニ店長、現コンビニアルバイター、「浜松市やらまいか大使」(観光大使)など、さまざまな顔を持つ。フジテレビ「Live Newsα」レギュラーコメンテーター「ホンマでっか⁉TV」レギュラー評論家として活躍する他、スポーツ紙「東京スポーツ」に連載を持ち、ニュース・ワイドショー・新聞・週刊誌・ラジオなどのコメント・講演会・アドバイザリー・顧問業などでも幅広く活動中。趣味は「ドラゴンズ熱烈応援」「時折フルマラソン」「発展途上国の教育支援(ガーナ・ラオス)」。著書に『コンビニが日本から消えたなら』(KKベストセラーズ)。
  • テキ・パキオ:都内に住む30代サラリーマン。小学生のとき、母親の手伝いで料理に目覚め、兄の夜食を作るようになる。大学時代にはカジュアルイタリアンの厨房でアルバイト。就職後は自炊することがなかったが、3年前にアーティストとして働く妻と結婚して家事全般を担当。猛スピードで掃除洗濯をこなす様子から妻に「テキ・パキオ」と名付けられる。PB食品の食べ比べがスーパーの売場徘徊が趣味。蛇口とシンクを磨くのが好きで、行きつけの飲み屋の閉店作業に加わりがち。ツイッターは「@tekipakio」