(写真はイメージです)

 新型コロナウイルスの感染者が出て休業していた「サミットストア東中野店」が再開したのを聞いて、行ってみた。

 既に報道されているように3月8日、総菜部に勤務する人の感染が判明。発表と同時に休店となったが、ホームページには陽性判明までの2週間の勤務シフトと、店内で行った作業を詳細に発表した。そして18日に営業再開の運びとなっている。

 10日ぶりに開いた店には、これまで同様に近隣のお客さんが続々と詰め掛けていた。店頭には見た限りで3カ所にお知らせが貼られ、お詫びとともに、再開日を決めた経緯を「感染した社員の最終出勤日である3月3日を起点に14日間経過した18日を営業再開日とした」と丁寧に説明してあった。

 実際に店に入ると、勤務者はマスクをしているのはもちろん、アルコール消毒液が置かれている。

 総菜コーナーをのぞいた。揚げ物などこれまでオープン陳列だったものが、1つずつ袋に入れられて販売されていたが、これは既に他のサミット店舗でも同じ仕様になっている。また、お薦め商品のお試しカウンターに担当者がいてこれまで通り開いていたが、試食品には全体を覆う透明カバーがかけられていた。

 ただ、急で用意がないのか、総菜を入れた袋は日頃、買物客が総菜を自分で入れる用のもので、見た目の訴求力はゼロ。今後は「この袋を含めた陳列をどうしていくか?」が課題なのは、先日の『お店の衛生概念が大きく変わっていく中で生じている変化』の記事にもある通りだ。また、お試しカウンターの試食も、買物中の雑菌が付いてるかもしれない手で開け、自分から取り出して食べるのはハードルが高いなぁと感じた。

 店頭にあったお知らせにはさらに、勤務者全員が出勤・退勤時に体温を測定し、健康状態を名簿に記入していくとある。またドアノブやカードリーダーのボタン等、不特定多数の手が触れる箇所はアルコール消毒を定期的に実施するとあった。こうしたことは簡単に見えて、日々積み重なっていくと働く側に負担になっていくかもしれない。

気を使うのが咳。お客さんがいる間は我慢する

 例えば私はライター業の合間に、近所の商店街にある惣菜店で週に何度かアルバイトをしている。主に店頭に出ての販売だ。小さなお店なので、売場は基本的に一人。やることが以前の倍になったよう、感じている。

 小さなお店なので、サミットのような規則は特に明記されたり、渡されたりはしていない。ただ、マスクはすることと、手洗いをしっかりすることだけ言い渡されている。

 なので、朝行くとまず、手洗いとうがいをする。それから開店準備をするが、以前はあまり気に留めなかった『Airレジ』の画面や釣銭箱、釣銭トレイなども丁寧にアルコール消毒をすること、レジ横に置いている指をぬらすためのスポンジは洗剤でしっかり洗うのも忘れない。

 開店してからもお客さんの波が一段落するたびにアルコール消毒し、30~40分に1回は手洗い、またレジ周りで使うダスターもこまめに洗うようにしている。スーパーマーケットには袋を開けるときに指をぬらしてもらう用のダスターが変わらず置いてあるが、「あれ、どれぐらいの頻度で洗っているのだろうか?」と気になっている(ので、私は使わない)。

 また、お客さんがよく手を触れる陳列台や荷物置きも、こまめにアルコール消毒をして拭く。日頃はあまり気にしていなかった作業が多く、疲れが今までの倍だ。

 気を使うのが咳。お客さんがいる間は何とか我慢できる限り、我慢する。

 先日、東中野店とは別のサミットストアでレジの女性がせき込み、他の人にレジを代わってもらっているのを見掛けた。マスクをしていてもせき込み、マスクの上から口元を手で覆い、その手で食品を触るのはお客さんには気分のいいものではないだろう、という配慮だ。

 私の働く店は手洗い所もアルコール消毒もレジのすぐ側にあるが、スーパーマーケットではレジからバックヤードまでは遠く、手間取るから大変だ。「混雑していて人手に余裕がないときなど、どうしたらいいのか?」 レジごとに、勤務者用のアルコール消毒液や飲料水など常備する必要が出てくるかもしれない。

 こうしたさまざまな配慮も店で働く人全員に徹底させるのは大変だ。細かなルール作りが必要だと、東中野店の掲示を見て実感した。店内に貼り出せば、お客さまへの安心にもつながる。私も次にバイトに行ったら提案してみたい。

風邪症状が出て、自主的にしばらく休んだ

 私個人的に困ったのは先日、熱はないものの寒気や頭痛、咳の風邪症状が出たときだ。普段なら休まない程度だが、新型コロナウイルスの症状がはっきり分からないから区別がつかない。そこで、自主的にしばらく休むことにした。自分が感染源になって周囲に広げたり、お店が休業になると困るからだが、もっと検査を気軽にやってもらえたらいいのに、と一働き手として願う。

 お店の売上げだが、日によって差がある。友人がバイトする飲食店では「昼は忙しいが夜はヒマだ」と言っていたが、その通りで昼間はけっこう人出がある。惣菜を扱う私の働く店では、明らかに「学校が休みになった孫を預かっている」と見受けられる高齢の女性が、おにぎりや惣菜をかなりの数、購入していくのが目立つ。

 そういう方々は慣れない子供との時間にお疲れなのだろうか、「あれはないの?」「急いでるのよ」と声を荒げることも多いが、お疲れなのだろうと「すみません」と謝って小さくなっている。

 逆にいつもは大勢来るお年寄りは、めっきり姿を見る回数が減った。近所のクリニックの先生が、お年寄りが家に引きこもって血圧が上がったり弊害が大きいと嘆いていたが、「お年寄りが家を出て散歩を楽しみ、ちょこっと買物をするよう促す、商店街ぐるみの販促はできないだろうか?」 『買物散歩シール』などを発行し、お店で配り、集めたら何かと交換してもらえる、というような試みをしてもらえたら、と考える。

「とにかく今日を頑張る」 相撲と同じ「一日一番!」

 しかし、暗いことばかりじゃない。3.11のときも感じたが(その頃はコンビニでバイトをしていた)、人は不安になると普段よりおしゃべりになる。

 今までは「これ、ください」しか言わなかったような人たちが「これはどんな味?」とか「こんなものがあったんだ」とか、いろいろ話しかけてくる。

 こちらからもなるべく「プラス一言」を付け加えるようにしていて、以前よりずっと会話が弾むようになった。話題の大半は、トイレットペーパーやマスクの販売状況だったりするのはご愛敬だが、顔見知りになり、彼ら彼女らが常連になってくれたらけがの功名だ。

 働く側としての喜びでは、私の店ではお米の販売もしているが、スーパーマーケットの棚からお米が消え、大勢のお客さんが「お米ある?」と息せき切ってやって来たときに「大丈夫です!たっぷりありますよ!」と胸を張って販売できたことだ。

 お客さんはみんな「ああ、よかったぁ。ありがとうねえ」と頭を下げてありがたがってくれたから、なんだか救世主のような気持ちになり、頭の中には「♪ハレルヤ~」と讃美歌が鳴り響き、「また、いつでも来てくださいね」と、やたらと笑顔でお客さんを見送った。店長は「おいしい!と味を覚えてまた来てくれたらいいけど」と期待している。

 店内では勤務者同士、ワイワイとやっている。そういう点は変わらない。

 働く私たちはとにかく今日を頑張る。私は相撲ファンだが、相撲と同じ「一日一番」!今日を乗り越えていくことを考えて働いている。

 そうした中、お願いが一つある。店頭に立って働く者は日々不特定多数の人と対面し、ある意味では常に感染の可能性にさらされているが、それでも店頭に立ち続けている。

 マスクやトイレットペーパーの在庫がなくて責められるドラッグストアの人、日々忙しいスーパーマーケットの人。そんな店員さんたちに、どうか、少しだけ、ありがとうの気持ちを持っていただけたらうれしく思います。