<注意>この内容は記事執筆の3月9日時点での発表内容をまとめたものです。最新情報は、下記公式サイト等を必ず確認してください。

 厚生労働省から、今回の新型コロナウイルスの影響を受ける事業主を対象に「雇用調整助成金の特例措置」が発表されています。ニュースでも取り上げられていますが、現場の仕事でバタバタしていて詳細を確認できていない人もいるのではないでしょうか?

「雇用調整助成金」とは

 まず、「雇用調整助成金」とは、「経済上の理由により事業活動を縮小することになった事業主が労働者に対して一時的に休業等を行って雇用を維持した場合に、その休業手当や賃金等の一部が助成されるもの」です。

「経済上の理由により、事業活動を縮小することになった事業主」とは、今回の場合は新型コロナウイルスの影響を受ける事業主全てです。

 インバウンド客が減少して直接の影響を受けているホテルや店はもちろん、新型コロナウイルスが原因で取引先からの受注量が減ったなど、間接的な影響を受けて事業活動が縮小した企業も対象となります。

 

「一時的に休業等」とは、所定労働日に従業員を休業、教育訓練、出向させることを指します。例えば、店自体を閉店させていても、従業員が出勤して店内で仕事をしている場合は助成金の対象外となります。

 休業等は従業員全員でなくても構いませんが、短時間休業の場合は1時間以上の間、従業員全員を一斉に休業させる必要があります。あくまでも「雇用を維持した場合」のため、リストラや解雇などは対象外となる点に注意です。

「特例措置」には2種類ある

 

 今回発表されている「特例措置」には、2種類あることもポイント。1つ目は新型コロナウイルスの影響を受ける事業主に向けて、2つ目は北海道のように自治体が緊急事態宣言を発出して活動の自粛を要請している地域での事業主に向けたものです。

 

 1つ目(新型コロナウイルスの影響を受ける事業主に向けて)の助成率は大企業が2分の1、中小企業は3分の2となっており、限度日数は企業規模を問わず、いずれも1年間で100日(3年間で150日)とされています。

 ただし、北海道のように地域全体での活動自粛を要請された地域では、大企業3分の2、中小企業5分の4まで助成率が引き上げられるなど、特例措置の内容が拡充されます。かなり大幅に内容が拡充されるため、詳細については文末のサイト等で最新情報を確認してください。

 また、大企業か中小企業かの定義は、資本金か従業員数で区分されます。小売業(飲食店含む)なら資本金5000万円以下または従業員50人以下、サービス業なら資本金5000万円以下または従業員100人以下、卸売業なら資本金1億円以下または従業員100人以下、その他の業種は資本金3億円以下または従業員300人以下が「中小企業」となります。これらに当てはまらないものは「大企業」に分類されます。

助成金支給の条件が緩和されている

 

 今回の「特例措置」では、助成金支給の条件が緩和されて助成を受けやすくなっていることが大きなポイントです。前述の通り、活動自粛要請地域については、下記要件がさらに緩和されているため文末のサイト等で詳細を確認してください。

①休業等計画届の提出は5月31日まで受付(事後提出OK!)

 本来、雇用調整助成金を受けるためには、事前に休業等の計画届を労働局やハローワークに提出する必要があります。ただし1月24日以降に開始した休業等は、特例措置で5月31日まで受け付け可能としています。

②生産指標の確認を1カ月に短縮

「生産指標」とは、販売量、売上高等の事業活動を示す指標を指します。通常時では3カ月の生産指標が必要ですが、今回は最近1カ月の生産指標が前年同期に比べて10%以上減少した場合に支給要件を満たすものとされます。

③事業所設置後1年未満の事業主も対象

 今回の特例措置では、20年1月24日時点で事業所設置後1年未満の事業主についても助成対象とされています(この場合、②では19年12月の生産指標が必要となります)。

④最近3カ月の雇用量が対前年比で増加していても助成対象

 雇用量とは、従業員数と言い換えると分かりやすいです。対前年比で最近3カ月従業員を増やしていても、今回の助成は対象となります。通常時では〇%、〇人以上という具体的な要件がありますが、今回の特例では撤廃されています。

 

 また、3月中旬より、上記に加えて追加の特例措置が実施される予定です。追加予定となっている特例措置の内容は、下記3点です。

⑤休業等の初日が、20年1月24日~7月23日までに適用される

⑥新規学卒採用者など、雇用保険被保険者として継続して雇用された期間が半年未満でも助成対象

⑦過去に雇用調整助成金を受給した事業主でも助成可能

助成金が出るまでの流れ

 

 助成金が出るまでの流れは、以下の5段階にまとめられます。

①労使間で休業等に関する協定を結ぶ

(②休業等の計画届を都道府県労働局orハローワークに提出)

③受理された後、休業等を実施

④休業期間の終了後、2カ月以内に助成金の支給申請を行う

⑤都道府県労働局において状況を確認の上、助成金を支給

 通常であれば①→②→③→④→⑤という流れになりますが、今回の特例措置では②は事後の5月31日まで可能とされています。そのため、実際には①→③→②→④→⑤という流れになるケースが多いと思います。

 基本的には助成金支給の手続きは事業主が主体となって行ってくれると思いますが、労働者は自分が休業することになった場合、いつからいつまで休業するのか、仮でもよいので勤務表や最低限のメモを残しておくことが重要です。忘れないうちに個人で手帳やカレンダー等に日付や時間を書き留めておくことをお勧めします。

従業員からの提案も

 

 もし事業主から突然の解雇や休業を言い渡された場合には、一つの知識としてこうした情報をお伝えしてみてください。目前の対応に手一杯で、まだ詳細を確認できていない可能性もあります。

 もちろん、あくまでも助成のため入金には時間がかかることが予想されますし、これらを活用できたからといって全ての売上減が保証されるわけではありません。ただし事業が立ち行かなくなったからといって即全員解散、という最悪の事態は防げるはずです。

 この他にも、厚生労働省や経済産業省のHPでは資金繰り支援や生産性革命推進事業、セーフティネット保証、各相談窓口の案内など最新情報が日々更新されています。さまざまな方向からの支援が発表されているため、中には役立つ支援もあるはずです。まずはこうした支援策が、日々更新されていることを知ってください。

※本記事はあくまでも2020年3月9日執筆時点での情報です。内容や条件は随時変わる可能性が高いため、最新情報は下記の公式サイト等で必ずご確認ください。

〈参考サイト〉

厚生労働省「新型コロナウイルス感染症について」

■経済産業省「新型コロナウイルス感染症関連」