2017年2月のファッション専門紙WWDは「ファッション業界人が選ぶ最強のランシューズ」という別冊を出し、ファッション業界人で走ることを通じてメッセージを発信し続けている「ランフルエンサー」についても特集した。今や、ランニングとそのシューズやウェアはファッションカテゴリーの一部といっても過言ではないだろう。

 矢野経済研究所の予測によるとスニーカーやランニングブームに支えられて、国内スポーツ用品市場は安定して推移。2017年のスポーツ用品の国内市場規模(メーカー出荷金額ベース)は、前年比2.6%増の1兆4555億5000万円と予測し、右肩上がりの傾向にある。

「アスレジャー」ファッションが広がる中、特に若者ファッションの街、原宿・表参道界隈で存在感を発揮しているのが、外資系スポーツブランドを中心とするフラッグシップ(旗艦)店だ。

ナイキに始まり、プーマ、ニューバランス、アディダスにアシックス

プーマストア原宿(渋谷区神宮前1-13-14 原宿クエストビル)

 表参道に面した3階建ての「ナイキ 原宿」は、2009年東京初のフラッグシップストアとしてオープンし、同社のブランド発信基地として圧倒的な存在感がある。

 並びのビルには、「プーマストア原宿」もあるが、昨年末以降、原宿・表参道地区は他のスポーツブランドの基幹店が相次ぎオープン。2020年の東京オリンピックを控え、スポーツブランドの存在が今年は特に目立つようになり、街行く多くの海外観光客もスポーツブランド店に足を運び、賑わいを見せている。

アディダス ブランドコアストア 原宿(渋谷区神宮前4-31-10 ワイ・エム・スクウェア原宿1)

 昨年11月、ニューバランス ジャパンは明治通り沿いの竹下通り口の反対側に4階建ての赤いコーポレートカラーが目立つ日本発のフラッグシップ店「ニューバランス原宿」をオープンさせ、今年3月には、同じ明治通り沿いにアディダスのストリートランニングをコンセプトにした「アディダス ブランドコアストア 原宿」がオープン。

 さらに今年10月には「ニューバランス原宿」の真向いの竹下通り口に アシックスが国内最大の「アシックス原宿フラッグシップ」を開店させた。

 同時期にアディダスは新宿東口駅前の「アディダスブランドコアストア」をリニューアルオープンさせるなど、10月初めにはアシックスとアディダスの新店舗の話題が、メディアでは大きく取り上げられた。

増える「体験型」店舗!ナイキには靴のカスタマイズのコーナー

ニューバランス原宿(渋谷区神宮前4-32-16)

 スポーツ各ブランドは「体験型」をコンセプトにし、新規オープンの基幹店では、フィットネスラボやイベントを開催できるスペースが設けていることが特徴で、アディダス等、各ブランドはランニングイベントを定期的にSNS等で発信している。

「ニューバランス原宿」の4階にはカフェスペースもあり、イベントを開催するスペースとしても活用されている。ちなみにランナー向け施設としては、アディダスのランベースがあるが、ニューバランスは、シャワールームも完備した銀座店も今夏オープンする等、エクスサイズイベントを考えた店舗づくりが特徴的である。

ナイキ 原宿(渋谷区神宮前1-13-12)

 3階建の「ナイキ 原宿」はオリジナルのカスタマイズできるシューズのコーナーが人気で、同ブランドの新製品はもちろん、歴史のある製品のディスプレイ等デジタル技術が使われ、分かりやすい。9月末に神宮前交差点近くの期間限定ポップアップストアで新製品のシューズ「ナイキ ハイパーアダプト 1.0」の販売に先駆け、展示イベントを行うなど、話題づくりに優れている。

 また、11月には、原宿駅構内に人気シューズの「エア フォース1」の広告ポスターを配し、ナイキ 原宿の店頭ディスプレイと連動させ、メッセージ性のある演出が目を引いた。

幅広い若年層獲得のために複数タイプの店舗を出店している

アシックス原宿フラッグシップ(渋谷区 神宮前1-5-8 1F 神宮前タワービルディング)

 原宿・表参道地区では、ファッションに敏感な若年層をいかに取り入れるかが課題の一つでもある。10月にオープンした「アシックス原宿フラッグシップ」は、人気のある「アシックスタイガー」のコーナーを竹下通り側にも配し、観光客も含め、幅広い年齢層の取り入れにも成功しているようだ。

アディダス オリジナルス フラッグシップ ストア トウキョウ(渋谷区神宮前5-17-4 神宮前トーラス)

 ナイキ、アディダスの2ブランドは、同じ原宿・表参道地区の徒歩5分くらいの圏内に異なるタイプの店舗をおのおの出店し、より幅広い若年層の取り入れにも力を入れている。

 両ブランドとも、若者が多い裏通りのキャットストリートにストリートファッションを意識した若年層をターゲットとする小規模の店舗「アディダス オリジナルス フラッグシップ ストア トウキョウ」「ナイキ キックス ラウンジ 表参道」を出し、他の基幹店にはないデザイナーとコラボしたオリジナル製品を発売している。

ナイキ キックス ラウンジ 表参道(渋谷区神宮前4 丁目25-12 Mico 神宮前)

「アディダス オリジナルス」の旗艦店「アディダス オリジナルス フラッグシップ ストア トウキョウ」は今年9月にリニューアルオープンし、店内のイベントスペースには、スケートボーディングとアートの展示等、ストリートをテーマにした話題やオリジナルファッションを発信している。

 また、今年7月にオープンした「ナイキ キックス ラウンジ 表参道」も店舗の従業員がナイキ製品のファッションコーディネートを提案し、ディスプレイやインスタグラムの発信等も行い、ブランドに対する思いを伝える。

 店舗従業員の商品説明の対応も丁寧だ。ナイキが戦略の軸とするキーワード、DTC(Direct to Consumer=顧客直結)をまさに具現化。

 それぞれ、店舗はデザイナーやアーティストがかかわるオリジナルの壁面やインテリア等のデザインが特徴的だ。

異彩を放つプーマストア原宿、人気シンガーなどとコラボする

 異彩を放っているのは、ラグジュアリーブランドを展開するケリング傘下のプーマの「プーマストア原宿」。カナダの人気男性R&Bシンガー「ザ・ウィークエンド」等のイメージを使い、人気シンガーの「リアーナ」や日本の人気デザイナーとのコラボ製品、大きなリボンが特徴のスニーカー等々、女性向けのファッション性を意識した展開をし、売れ行きは好調のようだ。

 プーマは元々、スポーツブランドで初めてファッションデザイナーとコラボをしたブランドであり、「リアーナ」とのコラボレーションブランド 「FENTY PUMA by RIHANNA」の女性向け展開が目を引く。近くのラフォーレ原宿内にあるセレクトショップで、DJシンガーのマドモアゼル・ユリアのプロデュースによる期間限定ショップもオープンさせて、若い女性の間で人気を呼んだ。