《今回の相談内容》(葛飾区 A・D 19歳)

「店長から『お客さまの注文は復唱するように』といわれていますが、端末の機械にちゃんと入力しているので無駄な気がします。復唱って何か意味があるんでしょうか」 

 

さりげない行動で未来は変わる

 答えは、「確かにある」です。

 それを実験で証明したのが、オランダのラドバウド大学の心理学者リック・ファン・バーレン博士とその研究チームでした。博士たちは、小さなレストランでウエイトレスの協力を得て、お客の注文に対して次のような2種類の受け答えをしてもらいました。

A「(注文を受けて)はい、かしこまりました」

B「グリーンサラダとハンバーグ。それにパン。食後にコーヒーですね。はい、かしこまりました」

 すると、Bのようにお客の注文を復唱しただけで、お客が払うチップの額がAより70%もアップしたというのです。それだけウエイトレスへの好感度が上がったということです。

『ミラーリング』という心理用語があります。ミラーリングとは、相手のしぐさや行動、言動などをミラー(鏡)のようにまねることを指す言葉です。

 もともと、人は自分と似ている人、または似たものに対して好意や親近感を抱きやすい傾向があります。学生時代を思い出してみてください。たくさんいる同級生の中で自分と同じような考えや、同じような趣味を持っている人がいると、知り合った途端に打ち解けて、いつの間にか親友になっていたなんてことはなかったでしょうか。

 自分と似た雰囲気や言動は、無意識的に「味方同士だ」「気が合いそうだ」と感じるので、心の壁が取り払われて時間をかけずに仲良くなれるのです。それを積極的に行うのがミラーリング。

 まねるという行為は、「あなたに好意を持っています」という意思表示をしているようなもの。ですから、まねられる方も悪い気はしませんし、相手に好感を持ちます。復唱するということは相手のまねをすること。だから、お客もチップを余計にはずんだのでしょう。

 復唱は、注文を確認するためにだけに行うものではなく、お客に「この人は信頼できそうだ」と思ってもらうために行うものだということです。ポイントは、さり気なくまねをすること。誰かに好感を持ってもらいたいときは、ぜひさり気ないミラーリングを心掛けましょう。

 相手が笑顔になったら、自分も笑顔になる。相手が前かがみで話し始めたら、自分も前かがみになる。それだけで、相手に「なんだか気が合う」と思ってもらえて会話もスムーズになるのですから、接客のお仕事の方はぜひ習慣になさってみてください。