北海道は「緊急事態宣言」、国は「全国の小中高校、特別支援学校休校」と、国や一部の地方自治体は「コロナを封じ込めよう」と必死かもしれませんが、国民に対しては「ワクチンもなく特効薬もなく、目に見えない先が見えない新型コロナウイルスに、いつまでこんな生活が続くのか」という大きな不安をあおる結果になってしまいました。

「会社には出てくるな。テレワークで対応しろ」「子供は外に出してはいけない」となれば、消費者が「まずは食料や日用品を確保しよう」という気持ちになるのは当然です。最初は「トイレットペーパーがなくなる」というフェイクニュースでしたが、今では真実になってしまいました。

 最近はトイレットペーパーやティシュペーパーなどの紙製品から、米、パン、納豆、缶詰などの食料品の買い占めが始まっています。この次には、冷蔵庫や冷凍庫があるので生鮮食品の買い占めが始まるかもしれません。その次には、生鮮食品を蓄えるための冷蔵庫や冷凍庫、日用品を備蓄するための倉庫なども品不足になるかもしれません。

今、メーカー、卸の役割が問われている

 今、消費者は「何かをしなければいけない」という強迫観念に捕らわれています。異常行動とも思われる買い占めは「そんなことする必要はない」と思っていた消費者にも不安を与えるようになります。

 前回、この連載では小売業界の人たちに「限定販売をするな」とお願いしましたが(新型コロナウイルスに振り回される消費者、小売店の責務は限定販売をしないことだ!!)、今は、それより川上の人たちの責任が重大な局面になっています。

 品不足はマスクから始まりましたが、いまだに品不足は解消していません。安倍首相は、記者会見で「3月は、1月の生産量の2倍を超える6億枚以上を供給する」と言っていますが、そのうち北海道にかなりの量が配布されます。

 たとえ6億枚生産・供給されたとしても、1億人の国民が必要だとすると、1人当たり6枚しか供給されないことになります。最優先しなければならない医療関係者は、1カ月6枚では足りないでしょう。これでは消費者にマスクはほとんど回ってきません。かといって、消費者が買い占めれば、今度は一番必要である医療関係者にマスクが回らなくなります。

メーカーは出し惜しみをしないでください

「品不足ではない」「在庫が十分にある」といくら叫んでも、目の前に現物が山と積まれなければ消費者は信じることはできません。そもそも、1月に生産された3億枚のマスクはどこに行ったのでしょう。

 トイレットペーパーが品不足ではないという根拠として、業界は「在庫は3週間分ある」と言いましたが、3週間分とはトイレットペーパーが何億ロールあるのか、消費者には分かりません。いくら在庫があるといっても、店頭に並ばなければ、消費者は「在庫は十分あるというのはウソだった」と思います。

 食品・日用品メーカーは「出し惜しみ」をしてはいけません。確かに現状は、全ての小売店、食品・日用品メーカーにとっては、大特需です。コロナのおかげで思わぬ売上げ増かもしれません。

 しかし、1カ月もすると、家庭ではすぐに飽和状態になり、多くの消費者の心理状態も落ち着き、冷静な買物状態に戻ります。1日や数日で捨てるマスクと違い、買い占めた日用品や食品はすぐにはなくなりません。品不足は一時のことです。

 メーカーの皆さんも小売店の皆さんも「売れる時にいっぱい売ってやれ」「小出しにすれば消費者はずーっと買い続ける」「せっかく消費者が朝から並んでいるんだから、品不足にして毎朝並ばせた方が売上げは上がる」なんて考えないでください。

「棚を見てください。商品はこんなにありますよ。奥にもいっぱいありますから。明日もいっぱい並びますから」ということを消費者に伝えてください。棚に商品が並んでいなければ、誰も信じてくれません。メーカーの方々、小売店の方々、ぜひとも目に見える形で品不足でないことを証明してください。