新型コロナウイルスの影響でマスクの売り切れが続いていますが、そこに輪をかけて品切れ状態が発生しているのが、一部食品とトイレットペーパーです。

 トイレットペーパーは熊本県でのフェイクニュースから始まり、政府が全国の小中高校、特別支援学校の一斉休校を要請したことで、家にいることが多くなるからと買い占めが起きています。

 製紙業界の団体が「在庫はある」といくら強調しても、店頭にあふれるほど陳列しなければ消費者は納得しません。マスクも、政府がいくら数億枚用意するといっても、いつまでたっても店頭に並ぶことはなく、消費者は国の言うことを信用しなくなっています。そうした中、官房副長官が「トイレットペーパーを買い占めないで」といくら力説しても、マスクでウソをつかれたことで政府の言うことは誰も信用しません。

 消費者は目の前で自分が実感しなければ納得しないわけですが、そこに「おひとりさま1点限り」という、水に油を指すような販売方法が加わると厄介です。

 通常、「格安商品だから」限定販売されるのですが、マスクからも分かるようにこの方法は「品不足の場合」にも必ず採用されます。

 本来、格安販売のための限定販売なら、限定販売後に通常価格で山のように同じ商品を陳列することが必要で、そうでなければ、消費者は当然「品不足だから限定販売した」と思ってしまいます。

 そうなると、関係団体や小売店の協会が、どんなに「在庫はある」「品不足にはならない」と言っても、今の異常心理状態の消費者は耳を傾けてくれません。

ティッシュペーパーや食品の限定販売はやらないでください

 今はトイレットペーパーだけでなく、どんな食品や商品も限定販売すれば消費者は群がります。小売店にとっては毎朝、消費者が行列してくれることはありがたいかもしれませんが、小売店が限定販売をすればするほど消費者の異常行動を増幅させることになります。

 言葉では誰も信用しません。目の前で見せつけられなければ納得しないのです。

 本当に、トイレットペーパーの在庫が十分であれば、店頭に山ほど積まなければ誰も信用しません。だから、小売企業はメーカーや業界団体と協力して、この異常事態を防がなければなりません。

 少なくとも、3月いっぱいは多くの国民が「精神的にハイの状態」に陥ります。

 そうした中、この1~2週間、この1カ月が瀬戸際だと、まるで「これを乗り切らなければ日本は滅ぶ」かの言い方で、政府や自治体、専門家は危機をあおり続けるでしょう。

 それに小売業界が便乗して「この時に儲けてやれ」という気持ちにはならないでください。

 トイレットペーパーに続き、ティッシュペーパーなどの紙製品に、店頭での品不足が現れています。米などの食品も一部で売り切れが出始めました。くれぐれも、ティッシュペーパーなどの紙製品や食品の限定販売はやらないでください。

 特に、食品で品不足を起こすと、それこそ「本当の食糧危機到来」と思わせてしまいます。「買いだめしなければよかった」と消費者に思われるような売り方をしてください。

 政治家や専門家は、何が起ころうと責任は取りませんが、小売店はこれからも地元の消費者と長いお付き合いをしていかなければなりません。こういう時にこそ「便乗値上げ」や「便乗商売」をしてはいけません。消費者と直接向き合っている小売店だからこそ、一番冷静にならなければなりません。

「商人は正人であれ!」

 目先の利益に飛び付かず「消費者が安心して買物ができる環境を整えることが小売業の使命である」ことを忘れないでください。