Amazonの戦略から見える小売業の未来像

 無人コンビニとしては、中国のBingoBoxが2016年8月に中山市に初の無人コンビニを開店し、2017年9月までに中国で10店舗が営業を行っている。店舗は完全に無人で、クローズドな店舗内に入るためには、入り口でWeChatアプリを使ってQRコードを読み取って本人認証を受ける必要がある。全ての商品にはRFIDタグが付けられており、無人のレジに置くとタグがスキャンされて、画面に表示されるQRコードを読み取ればWeChat PayまたはAlipayで決済が完了する。決済が終わっていない商品を持ち出そうとすると、警告されて外に出られないようになっている。

 BingoBoxは、低コストで経営できる無人コンビニをフランチャイズチェーン方式で一気に広めようとしていると思われるので、Amazon Goとは単純比較できないが、導入されているシステムや店舗の見た目はAmazon Goの方が格段にスマートに映る。ちなみにBingoBoxによると、約20㎡の標準店舗を運営するコストは、従来のコンビニの1/8ほどで、今後1年間に中国内で5000店舗をオープンさせる構想を発表している。

 Amazonは、家電や家具を販売する実店舗も出店を計画中と伝えられる。Amazonの最終目標は、あらゆるカテゴリーでオムニチャネルを実現して、世界一の小売業者になることだろう。それを裏付けるかのように、2017年6月、スーパーマーケットの「Whole Foods Market」を137億ドル(約1兆5300億円)で買収すると発表して業界を驚かせた。一般的には、鮮度が命の生鮮食料品はECとは相性がよくないとされるが、Amazonは2007年から生鮮食料品を自社配送センターから届ける「Amazonフレッシュ」というサービスを試験的に開始しており、当時から生鮮食料品市場への進出を狙っていたことがうかがえる。

 今後、アマゾンが小売業界でナンバーワンを目指すために大きな課題となるのは、日本でも昨今問題になっている配送コストの問題だろう。最後の物流拠点から利用者の自宅までの配送は、物流のラストワンマイル問題とも呼ばれている。Amazonは、このラストワンマイルを埋めるために、独自の物流ネットワークを強化することに並行して、ドローンを使った無人配送の実証実験を一早く進めるなど、さまざまな試行錯誤を繰り返してきた。実店舗にも、配送の拠点として活用する狙いが込められていることは間違いない。前回、IoTの応用領域の一つにサプライチェーンのスマート化があることに触れたが、実店舗も含めたサプライチェーンをIoTの活用で構築しようとしているのではないかと見受けられる。