《今回の相談内容》(千葉市 S・B 23歳)

「うちの会社に営業にやってくる中年女性はいつもあめやチョコを持っていて『お一つどうぞ』と言ってくれるのですが、あれって何か役に立っているんでしょうか」 

 

コミュニケーションとしての「あめちゃん」

 質問への回答は「ちゃんと役に立っている」です。

 あめをコミュニケーションツールとして活用している代表格としてすぐに思い浮かぶのは“関西のおばちゃん”でしょうね。彼女たちほどあめを上手に活用している人たちはいないかもしれません。

 面白いのは、彼女たちが「あめ」ではなく「あめちゃん」と呼んでいること。なぜ彼女たちは“ちゃん付け”をするのでしょう。興味本位で調べてみたところ、関西ではもともと「お芋さん」「お粥(かい)さん」「お豆さん」といったように食べ物に「お」や「さん」をつける習慣があったようです。

 そうした言い方は京都御所から広まったものらしく、宮中の女性たちの女房言葉が由来になっているのだとか。当時は飽食の時代といわれる現代と違って、食べ物は貴重なものでした。神様からの贈り物ともいえるもの。それだけに「さん」をつけて敬うのが当たり前だったのかも。

 あめについても、もともとは「あめさん」と呼ばれていたようです。それがあめを携帯する人が増えるにつれてより身近なものになり、より親しみやすい「あめちゃん」に変わったようです。

 実は、この「あめちゃん」が見ず知らずの人の心を開かせ、スムーズなコミュニケーションに導いてくれることは心理実験でも確かめられているのです。実験を行ったのは、心理学者のショーン・エイカー博士。その実験は、経験豊かな医師たちを集めて行われました。

 ABCの3つのグループに分けられた医師たちに与えられたミッションは「架空の患者の症状や病歴から病名を診断し、治療法をシミュレーションせよ」というものでした。

 ただし、3つのグループには事前に別々の部屋でエイカー博士と面談してもらっていました。その面談の仕方はそれぞれ次のようなものでした。

・Aチーム・・・・博士との挨拶だけ

・Bチーム・・・・博士が医師たちに医療関係の記事を手渡し、それを読んでもらう

・Cチーム・・・・博士が医師たちにキャンディーを配る

  接触の仕方の違いはこれだけだったのですが、結果は大きく違うものになりました。

 なんと事前にキャンディーを配ったCチームが、他のチームの2倍のスピードでシミュレーションを達成してしまったのです。それほどの差が生まれたのは、キャンディーというさりげないプレゼントがCチームの医師たちの心を開かせ、いい気分にさせて、「この実験に協力したい」という意欲を高めさせた結果だったということ。

 プレゼントするものは他にも考えられるかもしれませんが、そのさりげなさ、携帯する便利さ、そして、あげる方ももらう方も負担にならないことなどを考えると、「あめ(キャンディー)」は最強のコミュニケーションツールといえるかも。

 たかがあめちゃん、されどあめちゃんです。特に、初対面の人との交流に苦手意識を持っている人には、この「あめ手渡し作戦」は効果絶大です。ぜひお試しください。