まもなく決算シーズンですが、またもや大幅減益となる企業が増えています。先般、「いなげや4月~12月営業利益39.9%減」というニュースが話題になりました。

 その要因は災害と増税で既存店低調とのことですが、どこも条件は同じなはずで、ここで重要なのは「その中で大幅減益となった本当の要因は何なのか」ということです。

 いなげやの直近3カ年の数値を見ると営業総利益率は、31.7%(2017年3月期)、32.2%(18年3月期)、32.5%(19年3月期)と引き上げているものの、同時に削減すべき販管費の比率は30.7%(17年3月期)、30.7%(18年3月期)、31.5%(19年3月期)と引き下げが追い付いていない状況。今第3四半期時点では営業総利益率31.7%、販管費率31.5%で推移をしていることから、本業の儲け度合いを示す2020年3月期(通期)の営業利益率は、昨年を下回るのはほぼ確実です。

投資回収できなければ、成長どころか現状維持も難しい

 いなげやは、首都圏を基盤に人口密度の高いエリアにいなげや136店(20年1月時点)などを展開する年商2500億円規模の中堅チェーンです。スーパーマーケット事業で直近3期(17年3月期~19年3月期)に計83店の既存店改装をし、それを今期も継続。スクラップ&ビルドや赤字店を閉鎖し、現状維持している点はよいといえます。

 問題なのは「全体の約6割の店舗に投資をしているにもかかわらず、19年3月期の営業利益率が下がっていて、今第3四半期時点ではさらにそれを下回っている」点です。

「改装したからといって売上げは上がるものじゃない」という声が聞こえてきそうですが、マスタープラン通りであるならそれはいいわけですが、「投資回収ができなければ、成長戦略のためのコストが確保できないばかりか、現状維持も難しくなる」ということです。

 かつて、大手チェーンが巨額投資で事業を多角化した末、破たんした時代でも、スーパーマーケット各社は本業の小売りに集中すれば生き残ることができました。しかし、人口減少の時代に突入し、需要は減り人件費が上昇しており、このやり方が通用しなくなってきているのです。

 実際、ここ数年で破たんした中小チェーンや地方百貨店では競合出店や人手不足、価格競争といったことがその要因といわれていますが、当然、過去にも同様のことはありました。つまり、環境が大きく変化する中、従来の延長上のやり方を続けてきたから破たんしているのです。

 冷静に考えてみれば分かることですが、売上げが4割減ってもそれに見合った販管費に下げる仕組みさえあれば、事業として成り立つわけです。そして、実際、短期間に新たな一手を打ち、再生した企業は世に数多く存在しています。

 そうした意味では、企業再生のカギは常に環境の変化を予知し、新たな事業への準備をしているかどうかということになります。

絶対に間違えてはならない脱・高コスト化のやり方手順

 店舗型ビジネスが低迷する中、最もコストがかかっている店舗に着目し、利益創出のために(売上げ以上に)そのオペレーションコストに注目するのは、経営者であれば当然のことと言えます。

 前出のいなげやも30%台という超がつくぐらい販管費率が高いことが問題であり、過去5期を見ても、この比率は一度も30%を切っていません(むしろ15年3月期の30.5%から19年3月期は31.5%まで上昇し悪化傾向をたどっています)。

 今までは、家賃が高くても売れる場所に出店すれば安定収入が見込めたことから、薄利でも回せたのがスーパーマーケット事業。しかし、高齢化と人口減によって下がる売上げと、上がる経費によって引き起こされる「営業利益率1%未満時代」はスーパーマーケット業界の危機的状況の始まりといえます。

 いなげやでは過去3期に、商品開発やプロセスセンターへの投資は行われたものの、取引先絡みの取り組みには限界があります。本来であれば、商品開発やプロセスセンターの稼働、店舗改装を行う前に、既存店舗の生産性を上げる取り組みを優先させなくては、「無駄な二重投資」になる可能性があるのです。