バームタイプが主力級に成長する可能性

 2019年の化粧品の推計市場規模は1兆4069億円、前年比101%だった(図表①、インテージ全国女性消費者パネル調査〈SLI〉調べ)。

 国内に在住する15~69歳の女性個人の購買データからの推計。9月に増税前の駆け込みによる購買が発生し、10月~12月はその反動が生じやや低迷していたが、年計では前年から若干のプラス。市場の約7割を占める基礎化粧品も9468億円、同102%とプラスになった。

 基礎化粧品の中で、2019年に好調だったカテゴリーがクレンジング。前年比105%とパックに次いで高い伸びとなったが、中でも毛穴ケア効果のあるアイテムが絶好調で、毎年10%前後で伸長しており、この5年で約1.6倍になっている(図表②)。

図表① 基礎化粧品カテゴリー別市場規模推移※1

(データソース:SLI/期間:2015年~2019年 各年1月~12月/ベース:金額)※1インテージ推計母集団(平成27年国勢調査準拠 15~69歳日本女性人口)より算出

図表② 毛穴ケアクレンジング市場規模推移

(データソース:SLI/期間:各年1月~12月/ベース:金額)

 毛穴ケアクレンジングの形状構成比を見ると、2015年では約7割を占めていたオイルが縮小し、現在ではオイル、ジェル、バームの3タイプに分散していることが分かる(図表③)。

 特に2019年はバームの構成比が8%から16%と2倍に拡大。バームは手に取ったときは固形状だが、肌になじませると溶けてオイルのようになる使用感が特徴で、洗浄力も高いと注目を集めている。加えて、溶けて肌に密着することで保湿効果もあることから、しっかりメイクオフしつつ、潤いをキープできるところに消費者は魅力を感じているのではないかと推測できる。

 ジェルタイプも2016年に急拡大して以来、シェアを堅持。形状だけで効果が訴求できるわけではないが、バームタイプも今後の新商品や展開の仕方次第では、主力級に成長できる可能性もあるといえるだろう。

図表③ 毛穴ケアクレンジング形状別構成比

(データソース:SLI/期間:各年1月~12月/ベース:金額)

肌の悩みナンバーワンは「毛穴が気になる」こと

 毛穴ケアクレンジング購入者のメイン層は30~40代だが、毛穴ケア以外のクレジングと比較すると、20~30代の構成比が高い(図表④)。SLI対象者に実施した2019年意識調査では、20~30代女性の肌悩みのナンバーワンは「毛穴が気になる」で、毛穴ケアの需要が高いことが分かった。

 そのため、毛穴ケアクレンジング購入者のうち、約6割の人がクレンジング以外でも毛穴ケア訴求の商品を買っている(図表⑤)。特にクレンジング後に使う洗顔クリームの購入率が高く、洗浄や保湿といったメイン機能に加えて、毛穴ケアを行えるところに期待していることも考えられる。また、「1つのアイテムでは満足のいくケアが完了しない」「理想の肌にならない」などのために複数のアイテムが必要なのかもしれない。

図表④ クレンジング購入者 年代構成比

(データソース:SLI/期間:2019年1月~12月/ベース:人数)

図表⑤ 毛穴ケアクレンジング購入者における毛穴ケアアイテム購入率

(データソース:SLI/期間:2019年1月~12月/ベース:人数)

毛穴ケアを諦めていた層も新規獲得できる

 毛穴の悩みは若年層では毛穴の黒ずみや詰まりなどが多く、中高年層では毛穴の開きなど、それぞれの年代で特有のものがある。この悩みがなかなか満足に解消されることがないため、「需要=悩み」が存在し続けている。

 現時点で毛穴ケアクレンジングを購入している人の6割は他のカテゴリーの毛穴ケア商品を購入していることから、店頭で毛穴ケアアイテムをセットで置いたりすることで、認知や併買を喚起できるのではないかと考えている。

 そうした施策により、他のスキンケアアイテムで毛穴対策をしている人が毛穴クレンジングにスイッチする可能性も見込める。年々、毛穴ケアを訴求するアイテム数も増加。女性の悩みは少しずつ解決されてきているが、新商品の開発が進むことで、肌に合わず毛穴ケアを諦めていた層も新規獲得できるかもしれない。

 2019年でブームとなったバームタイプの躍進が続くのか、それともまた新たな成長の火付け役のアイテムが登場するのか、今後毛穴ケアクレンジングに注目していきたい。

(株式会社インテージ アナリスト 兒玉 沙織)