東京都では2月24日まで「東京で巡る!アンテナショップスタンプラリー」を行っている。都内63店舗のアンテナショップを巡って各地の逸品を当てよう!という企画だが、今回はそこにも参加する長野県の「銀座NAGANO」を訪ねた。

 長野県は昨年10月の台風19号で千曲川が決壊、甚大な被害を受けて今もまだ生活再建が道半ばの人も大勢いる。しかし、だからこそ、長野県内の被災地の現状を知ってもらうとともに、まだまだ現地では必要とされている、復旧・復興に向けた応援や支援をしてもらえるよう「銀座NAGANO」は奮闘中だ。ここは平成26年10月にオープン、被災時がまさに5周年だった。「この時期に不謹慎だろうか」と迷いながらも行った5周年イベントには大勢の人が訪れて応援メッセージや義援金を多数寄せてくれ、勇気づけられたという。

多くの人が手書きのメッセージを寄せた
昨年の台風19号から今もまだ復興途中の人が多い

「平成26年に『信州ブランド戦略』の一環としてオープンしました。『信州ブランド戦略』とは、県民一人一人が足元の価値を再認識し、それを高めて発信していくことを目的としていますが、銀座NAGANOは『信州ブランド』として高められた、信州のヒト・コト・モノをトータルで発信することにより、首都圏の皆さまからコアな信州ファンを創造していくことが使命です」

 そう語るのは信州首都圏総合活動拠点・次長の保科宗継さん。長野県のブランド戦略とはアンテナショップのキャッチフレーズの「しあわせ信州」を念頭に置いて、「新たなブランドを立ち上げるのではなく、足元の価値を拾い上げて磨き上げ、みんなに紹介していこうというもの」だという。

保科宗継さん
リンゴは数種類が販売されている
長野のソウルフード、おやき
ジビエ缶詰はワインや日本酒のお供に隠れた人気!
シードルも選び放題!これは興奮!

「当たり前だと思ってるもの」に価値がある

 例えば、こちらのショップで人気なのが「牛乳パン」。長野の人にとっては日常的に食べる、当たり前にあるものだそう。

牛乳パンは数種類が日替わりで販売されている
牛乳パンは1人で何個も買って行く人が多い

「長野の牛乳パンは地域ごとに町のパン屋さんが作っていてパッケージも、形も、味も違います。コーヒー牛乳パンがあったり、フルーツ牛乳パンもある地域パンなんですね。地元からしたら当たり前のものだったんですが、東京で紹介したらマーケットも大きいので刺さる人が大勢いて注目を集め、今では日替わりで8社ぐらいから入荷して置いてます。地元向けに作っているものですからロットが少ないので日替わりで分けてもらっていますが、すぐに売り切れることが多いんです」

 牛乳パンのヒットで「われわれが当たり前だと思ってるものが実は当たり前じゃない。価値がある」ことをつくづく知ったと保科さん。さらに、長野県は南北に長い県なので、県内でも地域によって食文化にも大きな違いがあるそうだ。

「長野といえば、そばと言われますが、飯山市辺りだとオヤマボクチという山ゴボウの葉っぱをつなぎに使った富倉そばがあったり、新潟との境にある栄村辺りだとヘギそばと同じでフノリをつなぎに使ったりします。食べ方だって奈川村、今の松本市辺りではとうじそば、といって大きな鍋にめいめいが籠に入れたそばを温めて食べるとか、さまざまです」

 そうした、それぞれの地域ごとに昔から伝えられてきた食文化もまた、やがてソウルフードへと成長する。一つ一つに歴史があり、価値があるんだと伝えることこそが、長野県が目指すブランド戦略なんだと言う。

 そのためにこちらではショップのオープンと同時にフリーペーパーの『つなぐ』を創刊。もちろん、ホームページでも同じ内容のものが読めるけれど、ぶらり立ち寄った人が気軽に手に取って読んで知ってくれる、ことが大事なんだという。パラパラとページをめくると、農民の手仕事が作り出した上田発祥の「農民美術」の紹介など、読み物としても面白いし、作品を見に上田に行きたくなった。