大沼の店舗

 1月27日、経営再建中だった大沼は山形地裁に自己破産を申請、破産手続きの開始決定を受け、経営破たんした。また、今年8月末にはそごう徳島店も閉店する予定で、山形と徳島の両県では百貨店が無くなることになる。

 大沼の売上高は1993年2月期の約196億円をピークに年々減少、2019年2月期には4割以下の約74億円まで落ち込んでいた。

 経営悪化に伴い、創業家が2018年4月経営から手を引き、投資会社マイルストーンターンアラウンドマネジメント社(MTM)が支援に乗り出し再建を目指したが、出資金を投資会社側に還流させていた問題が発覚したことで、昨年3月には幹部社員が新会社を設立。投資会社から経営権を取り戻し、業績不振の米沢店を8月に閉店するなど打開策を講じたが、消費税増税の影響もあり売上げが減少、結局資金繰りがつかず今回の決定に至った。

 一方、そごう徳島店の閉店は、親会社であるセブン&アイ・ホールディングスの「そごう西武経営再建策」の不採算店舗整理事業の一環。今年8月には西武岡崎店(愛知県岡崎市)、西武大津店(滋賀県大津市)、そごう西神店(兵庫県神戸市)も、来年2月にはそごう川口店(埼玉県川口市)も閉める予定だ。

百貨店の市場規模はバブル期の半分以下に

 周知のように百貨店の市場規模はピークのバブル期から減少傾向が続いており、昨年は1.4%減の5兆7547億円と最盛期の半分以下と収縮している。ただ、東京、大阪、名古屋、札幌、仙台、横浜、京都、神戸、広島、福岡の10都市は0.8%減で、それ以外は2.8%減。大都市部と地方で減少幅に格差が生じているわけだが、実はこの10都市での売上げは百貨店全体の売上げの約7割を占めており、事実上、百貨店は大都市産業化の様相を呈している(数値はいずれも日本百貨店協会)。

 また、髙島屋、大丸松坂屋百貨店、三越伊勢丹など上位10社の売上構成比も約7割と寡占化が進み、長年にわたって地方百貨店が淘汰されてきたのが、この業界なのだ。

 こうした中、生き残った地方百貨店は残存者利益を享受してきたが、地方の人口減や経済の停滞、百貨店を支えてきた富裕層の減少などで、経営環境は年々悪化の一途をたどっている。

 とりわけ深刻なのが大都市への商業流出だ。典型的なのが九州で、天神からJR博多駅にかけてという4百貨店を含む巨大な商業集積への一極集中が加速。その結果、佐賀、熊本、大分の地盤沈下が止まらない。

 同じ福岡県内でも北九州市はその直撃を受け、小倉では2000年12月に小倉そごうが閉店。その跡に小倉玉屋が移転したが2年後に百貨店として65年の歴史を閉じている。

 そうした中、苦境に立たされているのが、有力地方百貨店の井筒屋だ。2008年に小倉伊勢丹を買収し開業した「コレット井筒屋」を昨年2月閉店。19年2月期は24億5900万円の赤字に転落した。昨年30億円を投じてリニューアルし、本店をテコ入れしたものの、再建に向けての道筋は依然として不透明だ。