ストライプの中国法人、ストライプチャイナの陶源総経理。

 ストライプインターナショナルは中国でニューリテール戦略を進めている。現在、中国法人ストライプチャイナの陶源(タオ・ユアン)総経理の下、さまざまな取り組みを行っている。

アリババのアプリを使って、ECから店舗の販売員に

 2018年にアリババの日本法人と戦略的パートナーシップとして協業を開始。アリババのクラウドを導入し、社内作業効率化アプリ「DingTalk」を連動させるなど、オフラインデータとオンラインデータの融合を進めてきた。

 例えばアリババのEC(電子商取引)モール「タオバオ」アプリ上にある「アースミュージック&エコロジー」の画面から実店舗の販売員にチャットで問い合わせを行うことができる。

オンラインからのお客の問い合わせに対して、販売員がチャットを通じて即座に対応する。

 チャットは「DingTalk」と連携されているため、販売員の携帯電話にプッシュ通知が届き、すぐに対応が可能というわけだ。接客中などで販売員が回答できない場合には、コールセンターに転送、それでも対応できない状態の場合は本部に転送される。

 こうした取り組みで、19年上期はオンラインの売上げが前年同期比2倍、オフラインの売上げも1.5倍になった。

 また、「DingTalk」の活用によって、生産性も大きく向上したようだ。アプリ上で稟議(りんぎ)書を上げることができ、どこにいても確認・承認が行えることから大幅な時間短縮につながった。

 さらにお客からの問い合わせに対し、そのままアプリ上で社内共有が可能なため、適当な部署が即座に回答でき、解決までの時間も92%短縮に成功したという。

JD.comとも連携し、顧客情報をデータ化

 オフライン上での顧客情報をデータ化する取り組みについては京東集団(JD.com)と取り組みを進めている。

 店舗にカメラとセンサーを設置し、お客の匿名データを取得し、そのデータをマーケティング分析に活用している。例えばヒートマップを作成して、お客の動線からビジュアルマーチャンダイジングの改善などに役立てている。

 カメラでは顔の画像から個人を特定することも可能だ。お客の情報を結び付けて、より細かな分析が可能となるわけだ。同社は会員登録の際に、許可を得た上で顔認証も実施している。

 これによって、例えば優良顧客が店内に入店した際には、従業員にアラーム通知が送られ、ケーキやそのお客が好む雑誌などを用意したVIPルームへ案内するということを実現している。

 出店先の選定においてもJD.comが持つ各地のショッピングモールおよび客層のデータを活用している。客数、客単価、来店客の年齢、性別、さらには学歴、職業まで見ることができる。モール内に出店している競合の状況も見ることが可能で、複合的に自社のブランドに合う出店場所かを考えることができるようになった。

 ニューリテールの話ではないが、今後の展開として、中国政府が推進している「大衆創業、万衆創新(大衆による企業、万人による革新)」政策の下、100万人規模の都市などでフランチャイズ出店を進めていくという。

 アパレルビジネスに参入したいというオーナーに対して、立ち上げ時の内装、販売員の採用、商品の仕入れなどをパッケージ化しサポートするという。そして黒字化したところで、オーナーに引き渡す。18年末ごろから既に実施されているようだ。

 利益という部分では直営店に比べ大きくはない。しかし、地域のショッピングモールへ出店する際、地元のオーナーであれば賃料の交渉もスムーズになり安い価格で借りられるケースがあり、ここに大きなメリットがある。20年には50店ほどのフランチャイズ店舗をつくっていきたいという。

 
 

※本記事は『販売革新』2020年1月号に掲載されたものです。内容は取材当時のものです。

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